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著名人インタビュー この人に聞きたい!
大九明子さん[映画監督]
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●第4章 俳優の経験で苦しんだ時、進んだのは好きだった映画の世界。
演出されるより、自分で演出したいと思い、映画監督の道を志す。
――映画監督を目指す学校に入ったきっかけを教えてください。
【大九】お笑いのネタ作りに苦労しているうちに、普通の俳優事務所に声をかけていただいて、そこに所属みたいな形になって、俳優業のお仕事をいただいたんですけど、これが本当にダメでした。
何をやっていいかわからないというか全くダメなんですよ、演出されるっていうのが。コントは、自分で作って自分で演出してたんで良かったんです、たぶん。人の作品に呼ばれて出て行くということが、もうなんか抜け殻みたいな感じというか、なんの達成感も無いし、手ごたえも無いしっていう・・・全く向いてなかったんだと思うんですけど。
で、作る側に回る方が良いのだろうというようなことで、映画美学校っていう所に、行くことにしたんです。
ちょうど、27歳の頃ですね。初等科・高等科の2年間通いました。
そこでは、16ミリフィルムのカメラで撮影させてもらったりとか、色んなことをやらせてくれました。
当時の講師は、高橋洋さんというホラーの脚本兼監督や、黒澤清さん、青山真治さん、塩田明彦さんなどでした。
その人たちの考え方が「最強のインディペンデント集団を作るには、先ず脚本力を鍛えることだ」ということで、脚本を沢山書かされました。「自分が書いた脚本の中から5分くらいのシーンを抜粋して、撮ってきたものを提出せよ」という授業がありました。
――演じる側から、演出する側に回るときに「映画」の業界を選んだ理由はなんですか?
【大九】それは映画がとても好きだったので、何かあのそれこそOLをやっていてしんどいなっていう時も、「今日帰りに映画館に行けるから頑張れる」って思えたり、やっぱり映画が自分の中ですごい大事なオアシスみたいな所があったので、「作る側に行こう」ってなった時に、ちょうど自分が好きな監督たちが講師で名を連ねていたこともあるし、映画を作ろうっていうよりは、「そこの空気に触れてみたい」っていうような想いで、美学校にいたんです。
――映画はいつ頃から好きだったんですか?
【大九】子どもの時から好きでした。映画館に行くっていうことは特別なことだったから、しょっちゅう行くっていうよりは、お出かけとして、前の晩からもう興奮して「明日、スーパーマン観に行くんだ!」とか、そういう時代でしたね。
小学校4年か3年生だったと思うんですけど、めちゃくちゃハマりましたね。初恋に近いかもしれないですね、スーパーマン。目茶苦茶カッコいいと思って。スーパーマンがとにかく好きでしたね。カッコいいんですよ。
隠れてカッコいいのがいいんですよ。(主人公のクラーク・ケントが)新聞記者の彼女とニューヨークの街を歩いている時に「手をあげろ!」ってなって、路地に行かされて・・・でなんか怯えているふりをして、女の子が向こう気が強いから犯人の股間を蹴り上げて、大通りに戻って「全くあなたって頼りにならないわね、プン」とかって言っちゃうんだけど、その背中を見送りながらクラーク・ケントが「エヘッ」ってやるとここ(手のひら)に弾丸握っているっていう・・・実際は、その裏で彼女が蹴った時に、犯人が(銃を)打っていて、それをちゃんと守っていたっていう・・・「かっちょええ~!」っていう、そういう男の人っていいな~って思って。もう衝撃でしたもん。
――日本映画で、好きな作品や監督はいますか?
【大九】中学のとき日本映画といえば相米慎二監督一色でしたね。角川全盛期で、二本立ての時代でしたけど、薬師丸ひろ子さんを見たいがために観に行ったおかげで、もう一つの真田広之さんが映画デビューした「伊賀忍法帖」っていう映画を観たんです。
二本立てだったおかげで、自分では観に行かないけど、たまたま観たらすごい面白くって・・・やっぱり映画って裏切らないって思いました。
映画はすごく私的なものでしたね。自分だけで、独りで観に行く。自分にとって大事な時間をくれるものが映画でしたね、作るまでは。
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