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著名人インタビュー この人に聞きたい!
松本素生さん[ミュージシャン]

写真:松本素生さん

GOING UNDER GROUNDのVo&Gt。中学1年生の時、ブルーハーツに憧れて結成、何度かのメンバーチェンジを経て、現在のメンバーに至る。バンド名の由来はTHE JAMの同名曲より。1998年春から本格的にライブ活動を始め、2001年6月メジャーデビュー。10代20代の若い層から着実に支持を得ている。


くじけそうな心を奮い立たせる、前向きな気持ちを素直に表現したロックンロールが魅力のゴーイング・アンダー・グラウンド。リーダーの松本素生さんは、当初、プロになるつもりはなかったとか。現在の心境も含め、お話しを聞きました。

取材日:2007年10月



第1章 「なんで好きなのか」を考え続ける、それだけでいいと思う

小5の誕生日、ブルーハーツのテープを聞いたのがきっかけだった。

――ミュージシャンを志したきっかけは?

松本素生/GOING UNDER GROUND

【松本】誕生日が12月22日で、クリスマスと一緒に祝うんですが、誕生日の朝には枕元にプレゼントが置いてあるというのが、うちの習慣でした。小5の誕生日の朝、目が覚めたらカセットテープとポスターが置いてあって、それがブルーハーツだったんですよね。うちには、ファミコンもなければドラゴンボールの漫画本もなくて、当時「少年ジャンプ」がはやっていたけど一切読んだことなかったし、「なんでうちだけ?」みたいな気持ちは常日頃あって。「誰々ちゃんちは、ああなのにさー」と言うたびに、「人は人んちだから」と言われて常にモヤモヤしてました。「しょうがないから聴くか」と思って聴いて、アルバム通して聴き終わったときに、「もうこれでいいや」と思ったんです。それは自分でも早かったなと思うんですけど、「別にファミコンとか要らねえや」「おれ、音楽好きだわ」「ブルーハーツ好きだわ」みたいにふっきれました。

みんながいいと言っているものがいいじゃなくて、自分からその楽しさを見出せ。

――お父さんは、プレゼントにどのようなメッセージを込めたんでしょうか?

【松本】親父がどこまで考えていたのか、わからないですけど、「みんなが聴いているものがいいとか、みんながいいと言っているものがいいじゃなくて、自分からその楽しさを見出せ。」と伝えたかったのかもしれないですね。結局、おれでもないし、おまえ自身だよっていうことなのかなと思いましたね。

――そういう意味でいうと、すごいメッセージですよね。

【松本】でも、親父は大事なことは言わないんです。「うちは人と違うから」って親父に言われて、そこで初めて自分で考えて、「じゃ、こうなのかな」と考える。結論は言わなかったですね。

――その中で、やっぱり自分で「考える」という習性が身についたんでしょうね。

【松本】そうですね。それは、今となってはありがたいなと思います。どんだけばかなことでも、考えることっていいことだなって。

自分が「これ」と思ったものをとことんやると、誰も笑わなくなる。

――これからの時代、「考える」ことが一番必要だと?

松本素生/GOING UNDER GROUND

【松本】そうですね。どんな小さなことでも考えていると、「なんでこれをやっているのか」「何のためにこれやっているのか」「もしかしたら、これをやることで、何かこんなことが起こるかもしれない」みたいな考えが自分の中で湧きあがってきたときに、それを面白いと捉えられるようになると思うんです。そうすると、人にどれだけ笑われようが、罵倒されようが、自分がまず「これ」と思ったものに対して、とことんやれるし、そうすると誰も笑わなくなります。おれだって、18歳のとき、同級生5人でバンドやってて、ぷらぷらしていて、田舎だからみんな就職とかしてるのに、同級生の女の子に駅で会うと「まだやってんだ」みたいな感じで。近所の人からも無言の威圧感があったけど、結局どれだけ人に言われようが、ずっとやり続けていると、人って面白いもんで、何も言わなくなるというか、今度は褒めることしかなくなるんですね。

とにかく「なんで好きなのか」って考え続ける、それだけでいいと思うんです。バンドマンになって、ミュージシャンになって、お金稼ぐ、デビューして有名になるために練習するという前に、「なんでやりたいの」と聞かれたときに、「おれ、こうだからこれやりたいんですよね」とはっきり言える裏付けがあればいいだけかなっていうふうに、おれは思いますね。

 
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