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著名人インタビュー この人に聞きたい!
渡邊雄一郎さん[シェフ/ジョエル・ロブション エグゼクティブ]
[INDEX]
No.9(第1弾)
- 第1章 コックコートに憧れて
- 第2章 決断、そしてプロを目指して
- 第3章 調理場で求められる資質
No.10(第2弾)
- 第4章 料理人として成長する喜び
- 第5章 子育て、食育について
- 第6章 料理業界を目指す人へのメッセージ
●第5章 子育て、食育について
「お仕事行ってくる」と言わずに「今日もお料理してきます」と家を出ます。
【渡邊】息子が3人いるんですが、小学校4年の長男はシェフに、二男はパン屋さんになりたいと言っています。三男はまだ小さくて、よくわからないんですが。家内も元はお菓子職人で、辻製菓専門学校の教員も5年ほどしていました。休日は僕が料理を作ります。
実は「仕事」という言い方もあまり好きではないんですよ。僕は「料理」と言うんです。子どもには「お仕事行ってくる」と言わずに「今日もお料理してきます」と家を出ます。料理は好きなことで、それを職業に選んだわけじゃないですか。どこかでそれを伝えたいのかもしれませんね。
僕は子どもの記憶の中に図々しくも入り込みたいと考えました。
【渡邊】息子の幼稚園でカレーを作ったこともあるんですよ。夏の行事に、せっかくだから「僕が作ったほうが盛り上がるんじゃない?」と申し出て、参加したんです。
僕の父は高度経済成長時代の猛烈サラリーマンで、日曜日もゴルフに行っちゃったり、運動会にもたしか来ていなかった。なので、僕は子どもの記憶の中に図々しくも入り込みたいと考えました。記憶は、その時にしか作れないじゃないですか。どうせならちょっと派手にやってやろうと、コックコートを着て、帽子をかぶって、園児の前で実演して、やる必要もないのにちょっと炎を立てたりして(笑)。意外な場所で火がたつと記憶に残るみたいですね。一番上の息子の同級生に「あのときのカレー、美味しかった」といまだに言われます。
最近は、小学校で味覚の授業をしたり、幼稚園で保護者を対象に話をしたりすることもあります。もちろん本業はおろそかにせず、その上で、できることをやりたいという考えですね。
子どもには安全な食材を見極める力がありません。
【渡邊】最近、「食育」が注目されていますが、子どもは安全な食材を自分で見極める力がありません。大人が導いてやることが大事です。ジャンクフードや駄菓子も、子どもは「はい」と与えればすべて食べてしまう。それは親がちゃんと注意しないといけない。決まった時間に食べること、歯を磨くこと、それと同じで、食のしつけだと思うんですね。最近、それがおろそかになっているなと感じることはあります。
僕らが子どもの頃は、マクドナルドもコンビニもありませんでした。環境が変わり、食が日常に氾濫しているのは事実ですが、親には見極める力があるわけですから、わかっている者が導いてあげるべきだと思いますね。
ジャンクフードがすべて悪いというわけではなく、TPOだと思います。僕も頻繁には行きませんけれど、要望があればマックやケンタッキーも行きます。でも、やっぱり美味しいものを食べたいと思うと、自然といいものを選ぶことになりますね。
- No.39 大九明子さん
- No.38 はまのゆかさん
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