著名人インタビュー この人に聞きたい!
漆紫穂子さん[校長]
[INDEX]
- 第1章 女子教育に命をささげてきた家庭に生まれ、教育者としての薫陶を受ける。
- 第2章 人間関係に悩んだ小学時代。教師になる想いがますます強くなった中学時代。
- 第3章 高校時代は、あらゆる角度から自分がどの科目が向いているか検証。「好き」と「得意」が一致した国語教師を選択。
- 第4章 一教師としてのびのびと仕事がしたくて他校へ就職。水の合う校風と生徒に囲まれ、充実した3年間を過ごす。
- 第5章 大学合格という目先のことだけでなく、自立した女性の教育に主眼を置く「28プロジェクト」を推進。
- 第6章 早くから将来にアンテナを立てていれば、「好き」と「仕事」が近づく。
- 第7章 親の価値観を押しつけるのではなく、子どもの「好き」を大切にする。
●第6章 早くから将来にアンテナを立てていれば、「好き」と「仕事」が近づく。
――「好き」がなかなか見つからない子も多いと思います。そんな子どもたちにアドバイスをお願いします。
【漆】うちの生徒が、こんなことを言っていました。「ちょっと興味があることがあっても、それが将来の仕事とどうつながっているのか分からない。その前に、大人になって社会にどんな仕事があるのかも分からないし、どんな能力が必要なのかも分からない。だけど、企業とのコラボレーション授業などでいろいろな社会人と接すると、自分がやりたいことが少し見えてくる。それをきっかけに特別講座を受けてみる。そんなふうに、一歩進むと次の山が見えてくるんです」と。
無駄なことかもしれないし、効果は分からないけど、とにかく一歩踏み出して何かやってみる。そうすると何か見えてくる。何か見えてきたら、さらにもう一歩踏み出してみる。それを繰り返すことで、次第に自分がやりたいことが明確になり、最終的に「(自分がやりたいのは)この職種かなというのが見えてきた」と話す子は多いですね。
中高で、将来やりたいことが決まっている人は少ないと思います。だけどそうやって、将来があるということを頭においてアンテナを立てている人は、情報やノウハウが積み上がっていく。途中でこの道じゃなかったと気がついた時も、積み上げたものはゼロにはなりません。それまでに、情報収集したり、努力したりしてきたことは、すでにノウハウとして身についているので、軌道修正しようと思ったらそのまま平行移動すれば、一から積み上げなくても次の新しいことを追求できます。だから、見つからないと言って何もしないのではなくて、いろいろ試してみることが大事です。
私の家では当たり前のように親が家で仕事の話をしていたので、教師の仕事がどんなもので、親がどんなことをやっていると分かっているつもりでいました。ところが、いざ自分が教師になり、現場で親の仕事ぶりを見て初めて、父を尊敬するようになりました。その意味では、親の仕事や、周りにいる大人の仕事を見学させてもらうのもいいと思います。私がやったように友達のお父さんでもいい。探せばいくらでもいますよね。あるいは、いろいろな大学に見学に行ってみるとか。他にも、企業が社会貢献事業として、職場体験を企画していて個人参加できるケースもあります。今はインターネットでさまざまな情報を収集できるので、それを利用しない手はありません。当校の子どもたちも、サイエンスキャンプとか国際会議とか自分でいろいろ調べて参加していますよ。
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