HOME > この人に聞きたい! > 蓮舫さん(政治家・参議院議員)

著名人インタビュー この人に聞きたい!
蓮舫さん[政治家・参議院議員]



第4章 蓮舫流子育てと子どもたちへのメッセージ

子どもは期待を裏切り続ける存在ですし、そうであってほしいんです。

――お話を伺っていると、蓮舫さんの母親の立場がすごく生かされていると思いますが、ご自身のお子さんの将来に関しては、母親として思うことが何かありますか。

【蓮舫】私は、あの子たちに期待しているものは何もありません。親がどんなに期待しても子どもは期待を裏切り続ける存在ですし、そうであってほしいんです。だって自分の能力や遺伝子を考えたら、バレリーナや学者になるなんて絶対にあり得ないだろうなと思うし。よく聞かれるんですよ。「何になってほしいですか」。そんなものは子どもが考えることで、私が押しつけることではないです。自分で手にするもので、与えるものじゃない。
親ができるのは社会に出て恥をかかない最低限のルールを教えることだけ。箸や鉛筆の持ち方、人が多いところに出たときのマナー、エレベーターの乗り方。ベビーカーを押してあげること。ご高齢の方の荷物を持ってあげること。あいさつをすること。「ありがとう」「ごめんなさい」を素直に言えること。人として一番基本のことだけを教えているつもりです。すると「忙しくて、町中で急いでいる人を結構押し退けちゃったな」と私も反省しますし、そういう姿を見せちゃいけないと思います。社会って、そうやって変わると思うんですね。

職業について調べる入り口はどこにでも転がっています。

蓮舫/政治家・参議院議員

【蓮舫】例えば本屋さんに行くと、カテゴライズされていますよね。私はよく趣味の雑誌のコーナーに子どもたちを連れていくんです。すると釣りの雑誌やペットの雑誌を自分で見つけてくるんですよ。「獣医ってあるんだね、ママ。獣医の先生って何やるの」「じゃあ、図書館に行って調べなさい」。
調べる入り口はどこにでも転がっています。スーパーに行ったときでも「裏をちょっと見せてください」。そこではパート、アルバイトのおばちゃんたちが魚を切っているんですよ。それが仕事だと見せてあげられる。今、八百屋さんや肉屋さんがなくなって、きれいな品揃えのスーパーばかりになっています。かまぼこがかまぼこのまま泳いでいると思わせてしまう町のつくりはおかしい。でも、ちょっと視点を変えれば、ほんとうにいろんなものを子どもたちに見せてあげられる。そういうところが日本にはまだまだ残っていると思うんです。
『13歳のハローワーク』を私はまだ子どもたちには見せていませんが、自分たちで「興味」や「好き」を獲得できる流れはつくってあげています。図書館に行く習慣や、本屋でここがどういう本のコーナーかを教えてあげたり。だから、あの子たちが13歳になってこの本を読んだときには、見たいページが限られているぐらいまで育っていると思います。

自分が第1号だという職業を絶対つくってもらいたい。それは可能だと思います

――最後になりましたが、サイトを見る子どもたちに対して、蓮舫さんなりのメッセージをいただきたいなと思っているんですが。

【蓮舫】まだ可能性のある年齢ですから、今までにない職業をつくってもらいたい。既にあるものに入っていくと、どうしてもその枠に自分をあてはめちゃうと思うんですよね。古代にはレストランなんかなかったわけですから、レストランをつくった人がいるわけだし、ナイチンゲールが看護師という尊い職業につくまで、世界中でそういう職業は共通認識としてなかったわけです。まだまだあると思うんですよね。人口がどんどん少なくなって高齢化の進む日本で、これまでにない、自分が第1号だという職業を絶対つくってもらいたい。それは可能だと思います。

――今日は「13歳のハローワークマップ」をプレゼントに持ってきました。是非、お子さんと一緒にご覧になってください。最近、学校の授業でも活用いただいているんですが、例えばこのマップの中から好きな職業を二つ三つ選んで、その間にこれから生まれるだろう新しい職業を考えてみる。世界地図や元素表を見るように、これを見て職業の世界観を広げてほしいと思っています。

【蓮舫】いいねえ。「生活と社会」なんていうのは、今はホームヘルパーがありますけれども、多分ここには話をずっと聞いてあげる「聞き屋さん」とか、できると思うんですね。いろいろな可能性がありますよね。子どもたちが大きくなったときに、もっともっと広がっているといいですね。

――今後もバージョンアップしながらつくっていきたいと思っています。
今日は本当にありがとうございました。


編集長代田のインタビュー後記

蓮舫/政治家・参議院議員

ひとつ質問をすると、起承転結、よどみなく一気に話してしまえる力は、別格!テレビ報道の現場で蓄えてきた人気キャスターならではの実力に、インタビュアー代田もたじたじでした。蓮舫さんと国会論争するには、きっと相当の準備と対策、度胸が必要だろう。

教育問題に関しては、母親という立場で、男性では気付きづらい視点から物事を考えていらっしゃり、女性の立場を代弁しリードしていく、強い女性国会議員という印象を受けました。独自の政策アイディアもお持ちで、内容も説得力もありました。これは、一票入れてしまいそうだ。

インタビューの最後に「13歳のハローワークマップ」をプレゼントすると、「わぁきれい!」「うれしい」「これすごい」「ありがとう」と、花が咲いたような笑顔で感嘆詞を連発し、とても喜んでもらいました。そんな一面から、明るく華やかな女性的な魅力も感じることができました。

蓮舫さんの今後のご活躍を期待します。