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著名人インタビュー この人に聞きたい!
蓮舫さん[政治家・参議院議員]



第3章 家庭任せ、会社任せ、はもうおしまい

これまで学校任せだった教育を地域に広げる。これで一つ変えられると感じています。

――今、働かない子どもたち、いわゆるニートが今非常に増えていると言われていますが、蓮舫さんは、それについてどのように考えていらっしゃいますか。

蓮舫/政治家・参議院議員

【蓮舫】「働かない」子どもたちではなくて、「働けない」子どもたちだし、働くという価値観を知らない、働く魅力を知る機会を与えてもらえなかった子どもたちです。長らく日本は家庭や会社に任せすぎてきたものがあった。家庭に任せておけば子どもを育ててくれた。会社に預けておけば会社が人を育ててくれた。しかし勉強していい大学に行って、いいところに就職しても、年功序列や終身雇用が崩壊してしまった今は、ゴールが昔とは違う。なのに学校制度を見直してこなかった。だからいびつな形のまま子どもたちがバーンアウトしてしまった。それに対する手だてを政府が講じていないという問題があります。

詰め込み教育だった学校のあり方を、どう変えるか。今までの学校では教える力にもう限界が来ています。教育委員会が配置をした先生が子どもたちをベルトコンベアー的に育てていく教育では、想像力も覚える力も育たない。だから私たちはコミュニティスクールという制度を入れようと考えています。

例えば三鷹市の成功例ですが、教職員ルームの隣にNPO、NGOの部屋をつくって、その地域でのいろいろな経験を持った人、子どもたちを育ててくれる人たちに、人材バンクへ登録してもらう。例えば児童30人対プロフェッショナルの先生が1人の授業へ、4人の地域の人にフォローに来ていただく。1人の先生ではどうしても目の届かない子たちに気付ける4人の大人たちがいて、授業中や休み時間、あるいは放課後や土日で、わからないところをきっちりと教えてあげられることもできる。塾ではなく学校の授業の延長です。こぼれる子どもがいなくなってくるでしょう。

しかも教えてくれる大人たちが近所の八百屋のおじさんならば、コンビニなんかに行くときでも、そのおじさんに見られていると悪いことができなくなる。「知っている人がいる」という町での安心感もある。犯罪の防御もできる。学校を中心にして、教育力を、子どもたちの学ぶ力を、地域の活性力を再生しましょう、これを教育基本法に入れた。私たちが唱える教育改革のメインはここにあります。

私は親として、その学校があったら入れたいと思う。それをつくれる政治家だからつくりたい。残念ながら野党なのでこの案は通りませんが、もっとブラッシュアップをしていくつもりです。これまで学校任せだった教育を地域に広げる。これで教育は一つ変えられると私たちは感じています。

こういうサイトは、ほんとうはないほうがいい。職業に悩んでいる子どもたちがいる社会って、絶対おかしい。

【蓮舫】もう一つは家庭です。これまでの社会は、子どもの小さな非行や学校での問題行動は家庭がただすものだと信じて疑いませんでした。昔は子どもが問題を起こすと、「うちの息子が申しわけございません、先生」。今は逆じゃないですか。「どうしてうちの子だけなんですか」。これは親御さんの意識が100%正しいとは思いません。学校をただすと同時に、変わってきた家庭もたださなきゃいけない。朝御飯を食べさせる子どもが少ないから学校が栄養指導教諭を導入するとか、箸の上げおろしも授業で教える。それはおかしい。家庭がやることです。

ただ、時代とともに世帯の変化があって、おじいちゃん、おばあちゃんや地域の手助けをかりることのできない、非常に孤独な子育て世帯の姿が見えてきている。誰の助けもない家庭に子育て力を全部押しつける。学校での問題行動も、万引きや非行に走るのも全部お父さんやお母さんが悪い。そういう時代はそろそろ変えないと、育児のストレスにさいなまれている保護者の気持ちを酌んであげることはできなくなってきているとも思います。

さっきの地域単位で学校の教育を変えるのと同じように、家庭にも地域を入れていきましょう。孤独にさせません、子どもはみんなで育てましょう。それさえすれば、子どもたちは塾に行かなくても十分幸せな生き方を学ぶでしょうし、多様な職業というのを学ぶんだと思います。いろいろな大人と出会える機会がありますから。だから、こういうサイトは、ほんとうはないほうがいい。職業に悩んでいる子どもたちがいる社会って、絶対おかしい。自分が子どものときには答えがいっぱいあったじゃないですか。それがなくなっているっておかしいんですよね。

何かから文字や絵で学ぶよりも、もっと大切なものを私は子どもたちにあげたい。それは自分の目で見て学ぶこと。見る、歩く、聞く。とにかく体験すること。子どもと家庭、地域、学校。教育は一つなんです。私はここを変えられると信じています。