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著名人インタビュー この人に聞きたい!
蓮舫さん[政治家・参議院議員]



第2章 政治家になって子どもを守りたい

自分の子どもだけじゃなく、すべての子どもを守るためには、政治家という職業を選ぶのが一番早いと判断しました。

――政治家というのはかなりの転換だったと思うんですが、先ほどのお話に戻れば、それも参議院選に出る5年前からイメージしていたものですか。

蓮舫/政治家・参議院議員

【蓮舫】政治家は、全くなかったですね。自分の中では想定外でした。

その頃、私はテレビで子どもの事件を中心にドキュメンタリー番組のリポートをしておりました。最初に取材したのが栃木県で13歳の少年がバタフライナイフを使って先生を殺(あや)めてしまった事件。「キレる」という言葉がメディアで最初に使われた事件でもあります。事件後1カ月ほど取材をする間に、同様の事件がさらに4件も起きたんですね。子どもたちがおかしい。どうしたんだろう。もっと取り上げたいと思って企画書も書いたんですが、1カ月取材をしても使われる映像が二、三分というドキュメンタリー番組は、民放では、すぐ予算を超えてしまいます。私もテレビで育ってきた人物ですからテレビで訴え続けたい気持ちは捨てられなかったんですが、制作費がなくてなかなかできないというときに立候補のお声がけをいただきました。テレビの提言に限界があるのなら、政策で子どもたちを守りたいと思ったのです。

事件を取材するとよくわかるのが、自分の子どもだけをどんなに守っても、加害者にも被害者にもならずに育つ保証はないんですよね。学校という一つの社会にいる子どもたちみんなが加害者、被害者にならないという共通認識を持たないと根本の解決にはならないんですよ。「自分の子が被害者にならなければいいや」という他者を切り捨てる視点では絶対にいじめはなくなりませんし、不登校児や保健室登校児も「ああいう人もいるよね」で終わってしまうと決してなくならない。それは、もう政策でしか変えることができない。自分の子どもだけじゃなくて、すべての子どもを守るためには政治家という職業を選ぶのが一番早いという判断をしました。

政治家がやろうと思えばできるんです。小さいことでも、きっとこれは私にしかできないことだと自負してやっています。

――議員になって2年。最初の思いは、どのぐらいまで実現できましたか。

【蓮舫】五、六年前でしたか、「17歳の犯罪」と言われる事件が連続したときに、問題を先送りして救いの手をさしのべてこなかったから、今や20~30代の人たちが小さい子どもたちを対象にした事件を起こすようになってきている。少人数の出来事だといって、誰もその場でちゃんと解決をしてこなかったために、そのまま大人になり、事件の加害者になってしまった。そういう最近の事件も私はあると思っているんです。だから政治の世界ももっとスピーディーに法審議や改正を進め、政省令事項でもいいから進めていかなければいけないんです。

野党であっても、立法府のあまりにもおかしい条文を正すことはできます。児童虐待の問題については、自分の中でも一歩進めることができたと思っています。総務省へ質問を繰り返し、児童福祉司の人口配置基準を50年ぶりに変えることができました。児童虐待を増やさないための大事な配置なのに、50年前の基準がまったく見直されていない。50年前と今とでは、家庭の状況も虐待の内容も全く違います。そういったことを一つ一つ質問で正していく。本当に政治家がやろうと思ったらできるんです。こういうことは小さくて小さくて目立たないんですよ。政省令の改正ではメディアも取り上げませんし、専門家しか注目していませんから、票にはつながりません。だけれども、きっとこれは私にしかできないことだと自負してやっています。政治家になってよかったと思っていることの一つです。