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著名人インタビュー この人に聞きたい!
竹中平蔵さん[政治家・総務大臣 郵政民営化担当]



第4章 将来を考え始めた人たちへのメッセージ

生きる動機づけを探す努力をしなくてはいけない。その自覚が必要な時代です。

――今、将来の仕事を考え始めた中高生に対して、一言メッセージをいただけますか。

竹中平蔵/政治家・総務大臣 郵政民営化担当

【竹中】メッセージですか。難しいですね。
まあ、世の中、面白いですよ。面白いから、いろんなことに興味を持って、いろんなことを試してみればいいと思いますね。
世の中って、広すぎるから取っかかりがないんです。そこが今の若者はかわいそうだと思います。私たちの時代にはとにかく社会で働かないと食べていけなかったから、いや応なしに働いたわけですね。自分に向いているか向いていないかも考えずに働いていた。今の若い人はそんなに必死にならなくても食べていけるし生きていける。なまじ豊かであるがゆえに、自分の生きる動機づけ、モチベーションを探すのに大変努力が要ると思います。今はそれを探す努力をしなくてはいけない時代だということを、若者自身がちゃんと理解するほうがいいですね。必ずしも自然に身につくものではないと思います。それが第1点。
もう1点申し上げるならば、いい意味でのライバルを持つことが大変重要だと思います。いろいろ議論することも必要ですし、「おれはあいつには絶対負けたくない」「今日、話をしたら、なんだかあいつ、いろいろ勉強していたな。明日は負けないぞ。だから今日はこの本をしっかり読むんだ」とかね。
身近なところでいい意味でのライバルを持ち、切磋琢磨(せっさたくま)することは大変重要だと思いますよ。

――お忙しいところ、今日はどうもありがとうございました。


――編集長代田のインタビュー後記

竹中平蔵/政治家・総務大臣 郵政民営化担当

インタビューは、総務省の大臣室で行われました。その部屋の大きさ、フロアスタンドに置かれた日本国旗、豪華なしつらい、10名を超えるスタッフ。ここで国の一大事が決まっていくのかと、少し興奮を覚えました。また、分刻みで指定されるインタビュー時間と、机上に積まれた書類に激務の様子が漂う中、テレビやマスコミが伝える以上に熱い竹中大臣のオーラに触れた時間でした。
今回は、大臣ご自身のキャリアに関するお話が非常に示唆に富んでいました。「職業は、銀行マン、大学教授、政治家と大きく変わっているけれど、自分が好奇心を持てる”経済”を追求するということで、仕事としてはずっと一貫している」。そして「初めから政治家を目指した人よりは、いろいろな職業を経た分、政治家として視野が広がっている」というお話。一つの職業だけを目指してまっしぐらに突き進むのではなく、好奇心を大切にし、その結果として、ある職業にたどり着くというキャリアの積み方。そこには、よのなかの流れを冷静に分析しながらも、常に経済のゆくえを体感しようとする研究者の姿勢も感じることができました。

インタビューを終えたあと、色紙に「Warm Heart & Cool Head!」とサインしていただきました。温かい語り口に包まれた明解なお話の直後だっただけに「なるほど、竹中大臣らしい」と思える一言でした。