HOME > この人に聞きたい! > 中田久美さん(元全日本女子バレーボール代表選手)

著名人インタビュー この人に聞きたい!
中田久美さん[元全日本女子バレーボール代表選手]



第3章 人を動かすためには、その人の人間性がわかっていなければいけない

コミュニケーションがとれなかったりしたら、社会に出ても問題だなって思う。

――現役選手時代は、セッターとしてチームを引っ張っていましたよね。人の個性を生かすことが必要なポジションだったと思いますが。

中田久美|コミュニケーションがとれなかったりしたら、社会に出ても問題だなって思う。

【中田】私の頃の日本チームは、100種類ものサインがあったんです。試合中は、チームメイトの精神状態を読みながら、調子のいい選手にはそれを持続させ、不調な選手には調子を高める方法を考えながら、なおかつ相手チームの裏をかく作戦を組み立てて、100のサインを使い分けていました。だから、常にそのアタッカーが何を考えているのか、どういう精神状態でいるのかを把握しないと、まず使えないんですよね。それから、人それぞれ、性格がありますから、その性格も含めて使っていかなきゃいけない。なおかつ、私は私のイメージでゲームを組み立てることを考えるわけです。だから自然と、「その人の良いところを引き出してあげよう」と考えるわけです。だって、そうしないと勝てないんですから。そして、人を動かすためには、その人の人間性がわかっていなければいけないわけです。

――そういう能力は、人生のいろいろな場面に生きてきますよね。

【中田】うん、役に立ちますね。2007年ワールドカップの解説をしたときも、大勢のスタッフの一員としてお仕事をさせてもらいながら、「私に何が求められているのかな」ということをすごく考えました。同じ場に大林素子さんや吉原知子さん、川合俊一さんがいて、私がいて、となったときに私はどういう立ち位置にいればいいんだろうとか、そういうことをね、すごく考えるんですね。

――なるほど。どのポジションの選手でも同じですか?

【中田】はい。バレーボール選手は、自分のことだけ考えていればいいと言ってできるスポーツではないので、チームワークよく非常にやりやすい現場でしたよ。

――スポーツをやっていた人ならではのチームワーク力ですね。

【中田】はい。いくらお勉強ができても、人間同士のコミュニケーションがとれなかったり、場の空気が読めなかったりしたら、社会に出ても問題だなって思うんです。私は、スポーツの世界でそういうことを教えてもらいましたね。

私、壁が高ければ高いほど越えたくなっちゃうタイプなんです。

中田久美|私、壁が高ければ高いほど越えたくなっちゃうタイプなんです。

【中田】多分、アスリートだから、ぎりぎりが好きなんだと思うんですよ。チャレンジャーなんですよ。私も大好きですね、ぎりぎり。多分、もう壁が高ければ高いほど越えたくなっちゃうタイプですよね。一応、女なので、「普通」に憧れることもあるんですね。でも、それで満足できない多分自分もどこかにいるんですよね。いつも戦ってないと気が済まない。

――それもスポーツの持つ魔力ですよね。 次は早いうちに監督になっていただきたいですね(笑)

【中田】でもまあ、今すぐ「じゃ、やります」「やらせてください」ということでもないし、「やってください」「わかりました」って言って引き受けるものでもないですから。その辺は自分が納得いくまでちゃんとやって、タイミングが合えばというところですね。

――ぜひ。応援しています。ありがとうございました。

 
第1章第2章|第3章