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著名人インタビュー この人に聞きたい!
中田久美さん[元全日本女子バレーボール代表選手]



第2章 自分で考えて、いろんなことを勉強して得るのが、自分の技術

すぐ答えを求めたがる子どもには、ヒントだけ与えて、自分で実行させる

――中田さんが、バレーボール教室などのお仕事を通じて子どもたちに接するとき、時代の流れのようなものを何か感じることはありますか?

中田久美|すぐ答えを求めたがる子どもには、ヒントだけ与えて、自分で実行させる

【中田】言葉数を多くしなければ、相手には伝わらない感じがしますね。怒られたり厳しくされたりすることに慣れていない子が多いみたいですね。きつい言葉イコール「怖い」と受け取ってしまったり。だから言葉数を多くして、ちゃんと理論立てて伝えることが求められているのかなと思います。やっぱり、人とのコミュニケーションって言葉が大事ですからね。

――なるほど。他には気になることはありますか?

【中田】そうですね…子どもたちの中には、すぐ答えを求めたがる子が増えている気がしますね。それから、与えられたことはやるけど、それ以上のことはしない。

――それは中田さんがやっていたころよりも、増えていると感じますか。

【中田】はい。与えられたことしかしないけど、結果や答えは欲しい。だから、子どもたちに接するときには、まずは、できるだけこちらから質問するんです。バレーボールって瞬時にいろんなことを考えなきゃいけないスポーツだし、技術って、教えられてできるものではありませんよね。自分で考えて、いろんなことを勉強して得るのが、自分の技術だと思うので、子どもたちにも、ヒントだけを与えて、あとは自分で実行させるようにしているんです。

いろんな経験を重ねたおかげでまたバレーの魅力に気がついた。

――中田さんは、引退後にモデルの仕事も経験されましたが、いかがでしたか?

中田久美|いろんな経験を重ねたおかげでまたバレーの魅力に気がついた。

【中田】何の職種でも、努力するとか、極めるというのは、一緒なんだなと思いました。でも私の場合、モデルの仕事はバレーボールほど熱くなれませんでした。いろんな仕事をさせてもらった結果、一つのことをさらに磨きをかけていくほうが、私の生き方に合っていると思ったんです。いつまでもバレー界、バレーボールっていうものにすがっているんじゃなくて、さらに自分が成長していくために、バレーと関わっていくっていうほうが、自分のエネルギーを出せるのかなと思って、すっぱりやめました。

――一回バレーボールに回帰する意味では、非常に有意義な経験だったですよね。

【中田】いろんなことを経験したおかげで、バレーボールの面白さや素晴らしさを再発見できたので、全然無駄ではなかったと思っています。私の場合、「バレーボールの中田久美」というのが一生ついて回ると思いますが、それを無理に消すことはないと思うし、ただ、自分が命を賭けてやってきたものに磨きをかけていくというのは、私の中ではとっても自然なことだと。そう思うまでに、現役をやめてから10年かかりましたね。