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著名人インタビュー この人に聞きたい!
ルー大柴さん[タレント]



第2章 頭の中で想像しているだけでは、いいものはできない

自分の世界に居場所を求めるのではなく、もっと人と関わりあう

――今、ニートやフリーター、あるいは就職しても3年で辞めてしまう若者が増えていますが、どう感じていますか?

ルー大柴|自分の世界に居場所を求めるのではなく、もっと人と関わりあう

【ルー大柴】私は、一つの夢を持っていて、それに向かって邁進していたこともありますが、同じようにサラリーマンでずっとやってきた人間ではありません。売れなかった頃はアルバイトして生計を立てていましたから、そういう意味ではフリーターのようなものでした。ですから、引きこもりやニートといった人たちのピュアな気持ちはわかるんですけど、だからといって家の中に引きこもっていても、何も結果は出ないと思うんですよ。そういう子たちは、ピュアで非常にクレバーだから、パソコンなどでいろいろな情報を吸収して、チャンスが来たら行動するつもりでいるのかもしれない。

でもね、イメージと現実は違うのだから、体を動かさないで頭の中で想像しているだけでは、決していいものはできないと思うんですよ。外に出て空気を吸って、社会の一員となって人の痛みや、喜怒哀楽を肌で感じないと。世の中はそんなに甘くなくて、理想だけでは生きていけない。チャンスは人との出会いの中で生まれるものなんだから、自分の世界にだけ居場所を求めていても、何も起こらないのでは。もっと人と関わりあうよう自分を仕向けていった方がいいと思いますね。

後悔してもいいから、とにかく自分で体験してみる

――まず、行動を起こそうと。

ルー大柴|後悔してもいいから、とにかく自分で体験してみる

【ルー大柴】そうですね。具体的にどうかわからないので、あくまで自分の想像でお話すると、学校の先生であれ、親であれ、「よしよし」と言ってかわいがるのはいいんだけど、その一方で、悪いことをしたときに、昔みたいに引っぱたいたり、「何やってんだ、おまえ」と叱ったりしてくれる人がいないんですよね。今の世の中、先生が生徒に手をあげると警察沙汰になったり、親が出てきたり、すぐに“事件”になってしまいます。そうすると、先生も面倒ごとに巻き込まれたくないから、必然的に「まあまあまあ」とオブラートに包んだような教育になってしまう。その結果、社会全体が人に干渉することをなるべく避け、何事も当たり障りなく済ませる風潮になり、それが若者の心の成長に影響を与えているのではないでしょうか。

たとえば、先生や親は、「そこの水たまりは汚いから左を通りなさい」とか「右を通りなさい」と言うでしょう。だけど、汚いかきれいかは、入ってみなければわからないじゃないですか。一回入ってみて、嫌だったら出てくればいい。簡単なことです。もしかしたら、水たまりに5円玉があったり、ヤゴがいたり、ザリガニがいたり、何かファニーなことがあるかもしれないし、自分に合っているかもしれない。これは、フォーエグザンプルなんですけど、イメージだけでやみくもに「ダメだ」と押さえつけてしまう価値観というか物の見方はノーグッド。まずは行動して、自分で確かめてみるべきでしょう。もちろん、本を読むことも、学校でいろいろなことを学ぶこともベリーインポータントだけど、体で覚えることも同じくらいベリーインポータント。身をもって体験したことって、血肉になりますからね。

ちなみに、私は高校グラジュエートしてから1年ぐらいヒッチハイクをしながら、世界を回りました。世の中にはいろんな人がいて、いろんな人種がいて、いろんなことを思っているんです。そういうことを若いうちに見て吸収しておくのはものすごく価値のあることで、歳をとってから行くよりも断然グレートなんです。今だったら、ちょっとバイトすればお金は何とかなるわけだから、もし人生の壁にぶち当たっているんだったら、自分探しの旅に出てみるのもいいかもしれない。