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著名人インタビュー この人に聞きたい!
田原総一朗さん[ジャーナリスト]



第3章 常識に対して疑いを持て。

コミュニティスクールは、教師と地域とPTAに権限がある。

――先生の大隈塾の中で、教育のテーマになったときに、コミュニティスクールの話が出たと思うんですけれども、コミュニティスクールに関しては。

田原総一朗/ジャーナリスト

【田原】いいと思う。今、コミュニティスクールは全国でもう200校ぐらいあるんじゃない? 相当増えていますよ。コミュニティスクールというのは、つまり教師と、PTAと、地域の人たちが一体となって運営して、しかも権限を持たせているんですね。教師と地域の人たちとPTAが集まって、こうしようと言うと、それが実現するんですよ。いままではただ言うだけで何も効果がなかった。コミュニティスクールは、それが実現するんです。

今のコミュニティスクールは、むしろ学校の中に地域をつくろうとしている

――他に特徴はありますか?

田原総一朗/ジャーナリスト

【田原】コミュニティスクールが必要とされるもう一つの大きな理由は、学校教育がだめになった理由のひとつでもある「地域の崩壊」なんですよ。で、学校教育というのは地域の中にあったんですよ。

昔だと、僕の親しい中学の先生が、初めて教師になったとき、始業式が終わったら、校長が「新人は皆残れ」と言って、地域の顔役、例えば村長、県会議員、市会議員とか、いろいろ回らされた。なんでこんなくだらないことをやっているんだと思ったら、これが大事だった。生徒が学校でちょっと悪いことをすると、地域が見ている。地域の人たちが親に「お前のところの息子が、よくないぞ」と。「こんなことやっているぞ」と言ったんです。下手すると親は村八分にされるから、だから学校に謝りに来る。そして、子どもを怒る。

ところが、地域が崩壊していると、どういうことが起きるか。教師が子どもを怒ると、親が「うちの子どもをいじめた」と教育委員会へ訴える。教育委員会が校長に言ってくる。すると、校長と先生が親に謝りに行く。逆になっちゃったわけです。ここから学級崩壊が始まった。大体80年代の中ごろです。

ところが、今のコミュニティスクールは、むしろ学校の中に地域をつくろうとしているわけ。PTAや地域の人たちを引き込んで、学校の中から、地域をつくっていこう。「学校の中に地域をつくること」と「権限を持たせること」。この二つで多くの学校がうまくいっていますよ。

――最後に、中学生に、力強く生きていくためにメッセージをいただきたいんですが。

【田原】常識に対して疑いを持て。そうすれば、モチベーションが高まり、やる気がわいてきます。

――ありがとうございました。

 
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