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著名人インタビュー この人に聞きたい!
田原総一朗さん[ジャーナリスト]



第2章 好奇心とハングリー精神が、やる気のもと。

好奇心というのはね、自分で考えるということ

――先生のキャリアを支えるのは、やはり「好奇心」ですか?

田原総一朗/ジャーナリスト

【田原】好奇心とハングリー精神。僕は全部失敗していますからね。画家から始まって、学校も7年通い、小説に挫折して。就職活動では10社近く落ちて、会社では干されて、挫折の連続。これが、一種のハングリー精神になっているんじゃないかな。

――そのエネルギーは、どこから来るんですか?

【田原】僕は近江商人の末裔で、子どものときから、祖父母たちに「運・鈍・根」と言われたのね。運がよくなきゃだめだと。その次が鈍。鈍感力だね。根は、根気とか根性。つまり、まずばかになれと。近道をするとか、ズルをしない。それで繰り返しチャレンジすれば、運は開けるものだと。

――では、子どもたちが好奇心を伸ばすには、どうしたらいいと思いますか?

【田原】好奇心というのはね、自分で考えるということ。あるいは常識を疑うということ。例えば、ミャンマーは民主主義じゃないから悪いと言っている。これはアメリカの宣伝にひっかかっているわけだ。日本の新聞もテレビも、軍がデモを抑えつけるところを撮って、いかに民主主義じゃないかと。でも、過去4年のGDPの伸び率は世界でトップですよ。軍政であろうと、民主政治であろうと、国民にとっては豊かならいいんですよ。

――そういうものに対して、子どもたちは疑いの目を持てと。

【田原】「何だろうこれ」と思うことが好奇心であって、そこから積極的にそのことを調べようとする。これが大事なんですよ。今の日本の子どもたちの一番大きな問題は、モチベーション。やる気がいま一つ欠けている。なぜかというと、一つは今の状態で満足しちゃっているんですね。ハングリーさがないんだよね。

今の教育、学校現場は悪くない。

――では、やる気の問題は、どういうふうに解決していけばいいのでしょうか。

田原総一朗/ジャーナリスト

【田原】やる気を起こし、モチベーションを高めるためにはね、常識を疑うことでしょう。そのために「ゆとり教育」ってやったんだよね。そしたら、「ゆとり教育」は学力が落ちるというんで変えちゃったんだよね。

――ただ一方で、OECDの調査で、学力が下がったと出てますよね。

【田原】14位なんて高いじゃない。8位から14位になっただけじゃない。8位が100位になったら落ちたと言える。数学だって1位だったのが3位になっただけでしょう。どっちにしても、世界の中のAクラスですよ。

――では、先生の認識でいうと、そういった学力は落ちていないと感じてらっしゃるんですね。

【田原】はい。僕は今、中学や小学校、高校を見ていますが、ずいぶんよくなっています。よってたかって、教育が悪い、悪いと言いすぎている。今の学校現場は悪くない。とにかく、今の教育がよくないと言っているのは、大間違い。現場を知らない学者や官僚たちが勝手に悪い悪いと言っている。官僚の多くがね、子どもたちを私学へ入れていますよ。公立をよくしなきゃいけないと言いながら、自分たちの子どもたちは私学へ入れている。

一時は勉強できない状態だったと言われたけれども、そんなものはない。今もう普通に勉強できているよね。で、学力が落ちたというのは、さっきの8位から14位に落ちたのを大騒ぎしているわけでしょう。ちゃんちゃらおかしいわな。