HOME > 特集記事 > 業界特集「地域のくらしをバックアップする ― 司法書士の仕事」

業界特集「地域のくらしをバックアップする ― 司法書士の仕事」

みなさんが大人になって仕事をして、いつか家や土地を買う時には、必ず法律上正式な手続きを踏まなくてはいけません。またネットオークションで買った物が届かなかったり、身に覚えのないお金を請求されたりなど、普通に生活をしていても思わぬ法律問題に悩まされることもあります。
法律に関わる仕事は、弁護士、税理士、行政書士など数々ありますが、そんな暮らしの悩みごとを乗り越える時に力を貸してくれるのが司法書士です。
ここでは「くらしの中の法律家」である司法書士の仕事について詳しく見ていきましょう。

[INDEX]

「正しい手続きの仕方がわからない」「このままだと大きなモメごとになりそう」そんな時に活躍するのが司法書士です。
暮らしの中で法律に関わる問題が発生した時に解決の手助けをするのも大切な仕事ですが、それより大切なのは「モメごとにしないこと」です。
人々が心穏やかに暮らせるように、後々モメごとにならないように、あらかじめ正しい手続きをする「モメごと予防」も司法書士の重要な仕事です。

ページトップ

司法書士 全体図

家や土地を持つ(不動産売買・登記)
会社を作る(会社の登記)
財産を残す(遺言・相続)
老後も安心(成年後見)
知らない請求がきた(消費者問題)
突然クビに!(労働問題)
借金が返せない(債務整理・破産申立)
交通事故でモメた(裁判)
外国人を日本人に(帰化申請)
そのほかにも、暮らしの様々な場面で司法書士は活躍しています。

ページトップ

◆ あるある・その1「司法書士はハンコを押す達人!」
あるある・その1「司法書士はハンコを押す達人!」 書類を作る際に印鑑を扱う機会が多い司法書士のみなさんは、印鑑を押すのがとても上手。書類に押された印鑑と登録されている印鑑が同じものかどうかはとても重要なので、司法書士が押した印鑑にゆがんだり、曲がったり、欠けたりなんてことはありません。
そんな司法書士のみなさんが常に持ち歩いているのが、印鑑をキレイに押すための朱肉と印鑑マットです。印鑑マットとは銀行の窓口などにある、印鑑を押す紙の下に敷く小さなマットのこと。
そして朱肉には、みなさんそれぞれにこだわりがあります。固すぎず柔らかすぎず、程よくインクがつき押しやすいものや、乾燥が早いもの、水に濡れても大丈夫なものなど、みなさんお気に入りの朱肉があります。
朱肉情報にも敏感で、朱肉のフタがしっかり閉まるものや、フタに印鑑マットが付いているものなど、情報交換も怠らないようです。中には、印鑑をキレイにするブラシも持ち歩いているという人も! 印鑑グッズの話になると司法書士のみなさんは、瞳がキラキラと輝くのでした。

◆ あるある・その2「人名や地名の漢字に詳しい!」
あるある・その2「人名や地名の漢字に詳しい!」 今は昔と違いパソコンで書類を作成しているとはいえ、正式な書類に漢字の間違いはご法度。特に人名は一文字間違えただけで別人になってしまうので要注意です。
例えば「サイトウ」さんの「サイ」の文字。よく見るものだけでも「斉」「齊」「斎」「齋」がありますね。これを間違えてしまったら、せっかくの書類が台無しです。パソコンでは出てこない特殊な文字は、正確に手書きしなくてはいけません。だからパソコンを使っていても、司法書士のみなさんは漢字に非常に神経を使っています。実は「斉・斎」と「齊・齋」は全く別の文字なのです。
ところが、実は依頼者ご本人が自分の名前を正確に知らなかったというケースもあるそうです。役所に届けている住民票と戸籍の漢字が一致していなかったこともあるとか。戸籍は代々続いているものですが、住民票は引越した際に手書きで申請します。その時に、本当は「斎藤」さんなのに自分は「斉藤」だと思っている人や、「斎藤」でも「斉藤」でも同じだと思って申請している人もいるそうです。依頼者ご本人よりも司法書士の方が、正確な名前を大切にしていたりするんですよ。

◆ あるある・その3「住所は省略せずしっかり書く!」
正式な書類を作る時、名前と同時にとても大切なのが住所です。特に土地の売買をする時などは、どの土地のことなのかを間違いなくハッキリさせなくてはいけません。
住所を書く時に番地を「5-2」などとハイフンを使って省略するのは一般的ですが、司法書士のみなさんは「5番2号」なのか「5番地2」なのかにとてもこだわります。
これが習慣になり、普段から必ず正確に書いてしまう人も少なくありません。例えば手紙を出す時や、ネットショッピングなどで住所を入力する時など、ついつい自分の住所を省略せず正確に書いてしまうとか。急いでいたり、書くスペースが狭かったりでハイフンを使い省略する時には、何となく罪悪感を抱いてしまう人もいるそうですよ。

◆ あるある・その4「ネット通販やキャッチセールスが怖くない!」
あるある・その4「ネット通販やキャッチセールスが怖くない!」 初めて使うネットショップや、街中で声をかけてくる怪しげなキャッチセールスに、みなさんは十分注意していますか? 何かの会員になる時、会員規約をきちんと読んでチェックしていますか?
司法書士のみなさんは、規約をきちんと細かく全部読む人と、まったく読まない人にタイプが分かれるそうです。読む人はそういう文面に興味がある人、読まない人は「何か困ったことがあっても、自分で対処できるから大丈夫」と思っている人。消費者問題の解決を手助けするのも、司法書士の大事な仕事です。もしも突然高額な請求が来たり、商品が届かなかったり、強引なセールスをされたとしても、きちんと自分を守ることができるから、初めてのネットショップを使ってもキャッチセールスに声をかけられても不安になることはないそうです。
特に好奇心旺盛な人の場合は、どんな強引な言葉でセールスをするのかな?なんて、わざと怪しげなセールスについていったり、どんな請求が来るのかな?とおかしなサイトをクリックすることもあるとか。ただし変なサイトをクリックすると、パソコンがウイルスにやられるかもしれないという心配はあるそうですよ。

◆ あるある・その5「人々の人情に触れられる!」
人々の生活の悩みに寄り添う司法書士という仕事は、日本全国どこでも活躍できます。離島や小さな町や村で、地域住民のために力を尽くしている司法書士もたくさんいます。
特に地方では、町や村の温かな人間関係の中で働いている人も。例えば「先生、うちの畑で採れた野菜だよ。持って行ってちょうだい!」とか「もらいもののお菓子だけど食べる?」なんて人情味いっぱいのやり取りも珍しくないそうです。事務所へ相談に来た人が「お隣さんがここの先生がいいよと言っていたので」と話すなど、人から人への紹介で仕事が広がるのもよくあること。司法書士がそれだけ地域の生活に密着し、そして信頼されている証拠ですね。
大都市で様々な企業や依頼者を相手に、バリバリ働くもあり。地方で地域住民と日頃からコミュニケーションを深めながら、のんびり働くもあり。自分で働く場所や働き方を選べるのが、司法書士のいいところですね。

ページトップ

まず司法書士試験を受験します。
試験は年1回開催。年齢、性別、学歴、国籍は関係なく誰でも、何度でも受験できます。
合格後は、司法書士会に入会していよいよ司法書士となります。
すぐに自分の事務所を開くこともできますが、司法書士会の研修を1ヶ月半ほど受けて、その後司法書士事務所に就職する人がほとんど。2~3年実務経験を積んでから独立開業するのが、一般的な道のりです。

何歳でも受験できるので、受験者には会社員を辞めた人や、70代の人もいます。
1回合格すれば一生使える資格なので、出産や子育てで仕事を休む可能性がある女性にもぴったり。また、独立後は子供を事務所に連れてきて、そばで見守りながら働いている人もいます。2019年現在、女性の司法書士は17%ほどですが、試験の合格者は2割を超えています。人とのコミュニケーションを大切にする仕事なので、女性でも無理なく働けます。

年収は人それぞれですが、生活をするのには困りません。
基本的に独立開業するのが前提なので、会社員や公務員というより個人商店(自営業)のような感覚ですが、司法書士たちはつながりが深く仲がいいので、ひとりで寂しくなることはありません。それでいて自分の好きな場所で、自分のペースで働けます。
司法書士は暮らしのあらゆる場面で重要な役割を果たすため、日本全国どこでも活躍できる仕事です。自分が生まれ育った町で自分らしさを大切に働きたいという人にも向いています。

ページトップ

こんな人が、司法書士に向いているかも。

コツコツ何かを成し遂げるのが得意な人

◆ コツコツ何かを成し遂げるのが得意な人
司法書士は試験の受験科目が多く、全体的にできるようにしておくことが大切なので、受験勉強中からコツコツ頑張ることが大切です。また、実際の仕事も書類を正確に作成したり、状況を丁寧に整理することが必要なので、物事にコツコツ取り組める人には向いています。

◆ 人と付き合うのが好きな人
依頼者はもちろん、関係者の話をじっくりと聞いたり、ケースによっては弁護士や税理士などを紹介することもあるので、司法書士に幅広い人付き合いは欠かせません。
事務所に来た人の相談を受けることもあれば、問題に関わる人たちに会いに行くこともよくあります。フットワークの軽さと、コミュニケーションを大切にする姿勢がある人は向いています。
また、ひとつの仕事で作った信頼関係が次の仕事につながることが多いので、付き合いやすく信用できる人柄はとても大切です。

◆ 物事にあまり動じない人
司法書士が、お手伝いをする暮らしの問題には、人の人生に関わるものがたくさんあります。自分の思うように進まないと悪態をつく人もいれば、何とか押し切ろうとする人もたまにはいます。
そんな時にあわてふためくことなく、冷静に対応することは法律に関わる仕事をする人として当然重要です。
また、中には無理難題を通そうとする依頼者もいるかもしれません。しかし、ダメなものはダメ、無理なことは無理とハッキリ言える意志の強さも必要です。

元気で健康な人

◆ 元気で健康な人
司法書士は体が資本! 依頼者や関係者に会いに出かけたり、書類を最終確認するのは司法書士の仕事です。体調を崩して会いに行けない、最終確認ができないとなっては、依頼者の手続きがスムーズに進みません。
また、基本的には独立し個人で仕事をしているので、自分の働いた分が自分の収入となります。体を壊して仕事ができなくなると、収入もストップしてしまいます。
依頼者のためにも、自分の生活のためにも、健康な体は何よりも大切です。

ページトップ

司法書士の事務所に相談に来る人の多くは、何かしらの問題を抱えて不安な顔をしています。泣きそうな表情でドアを開ける人もいます。
そんな依頼者が、すべての問題が片付いて笑顔を見せてくれる時が、司法書士がやりがいを感じる時。にっこり笑って「ありがとうございました」とドアを出て行く時が、この仕事をやっていて良かったと感じる瞬間です。

ページトップ

《参考ページ》

《参考サイト》

ページトップ

この特集にひとこと

《ご意見・ご感想》

「司法書士っておもしろそう!」など、この特集を読んだ感想を投稿してみよう。(投票もあるよ・・・)

● 私は、将来、司法書士になりたいと思っている高1です。記事を読んで、ますます司法書士の仕事に興味がわきました!数学が苦手なので、大学受験までに克服したいと思います。

中・高校生に送る「業界特集」