~自分の「好き」から探してみよう~
「好き」で調べる
特別編について
この特別編では、普通はいけないこととされる戦争やエッチやケンカなどが好き、ということについて考える。また「テレビゲーム」「漫画」「カラオケ」など、ほとんどの子どもが好きなものを、職業紹介として示さなかった理由を示す。
好きという言葉はとても曖昧だ。「好き」は「嫌いじゃない」に始まって、「それがないと死んでしまうかも」にいたるまで、幅広く対応している。好きなことを見つけなさい、と親や教師がアドバイスするかもしれない。だが、将来的に人生を支えてくれるような「好きなこと」を見つけるのは簡単ではない。「好きなこと」というのは、レストランのメニューのようにどこかにズラッと並んでいてその中から選ぶ、というようなものではないからだ。
「好きなこと」は、見つけるというより、「出会う」ものなのかも知れない。「好きなこと」は、テレビの映像の中や、本の中の言葉や、誰かの言ったことの中に潜んでいて、突然その人を魅了するものかも知れない。この本を読んできて、「自分には好きなことが何もない」と、がっかりする必要はない。好きなことがこの世の中に何もない、ということではなく、まだ出会っていないだけなのだ。好きなことを探すのをあきらめてはいけない。探していないと、出会ったときにそれが自分の好きなものだと気づかないからだ。ただし、飢えた人が食べ物を探すように、常に目をギラギラさせて、これでもない、あれでもないと、焦って探す必要はない。自分は何が好きなのだろうという気持ちを、心のどこかに忘れずに持っていればそれで充分だ。そして好奇心を失われずにいれば、いつか必ず「好きなこと」に出会うだろう。この世の中には、数え切れないほどの、学問や仕事や表現の種類があって、それらは、あなたと出会うのを待っている。
さて、勉強やスポーツの中には「好きなこと」がないけど、別の分野なら好きなことがあるという子は多いのではないだろうか。たとえば、エッチなことが好き。戦争やナイフや武器が好き、あるいはケンカが好き、という子もいるかも知れない。いや、案外多いかもしれない。実は、わたしも13歳のころ、それらが好きだった。それらは、「いけないこと」とされている。そして「戦争が好き」とか「エッチなことが好き」とか「ケンカが好き」と13歳が正直に親や教師に言うと、心配されたり、怒られたりする。だが、エッチなことや戦争やケンカが好きな子は確実に存在する。そのことをどう考えればいいのだろうか。
また「漫画」や「テレビゲーム」や「カラオケ」はどうだろうか。それが嫌いだという13歳はほとんどいないだろう。この本では「漫画が好き」「テレビゲームが好き」「アニメが好き」「カラオケが好き」という項目を作らなかった。この特別編の中でその理由を説明する。
(書籍「13歳のハローワーク」より)