地質調査業(地質調査技術者)
<< 編集部の職業解説 >>
家やマンション、橋や空港、トンネルなど全てが地盤の上や中に作られている。例えば家を作った時に、地盤が軟らかすぎて傾いてしまうと、せっかく作ったのに住めなくなってしまう。しかしながら地中の状況は目で見ることができないので、専門的な調査が必要。調査技術者は、地面の中の土の特性を調べ、それが建物や道路にどう影響するかなどを検討し、設計や工事のための情報として提供する。様々な手法で地中を調べ、コンピュータも駆使して解析し、社会の役に立てるのが地質調査技術者だ。
さらに地震が起きやすい場所や土砂崩れが起きやすい場所を予測したり、地下水の流れや土壌の状態を知ることで自然環境や人の健康を守る仕事なども地質調査技術者の役割。地質調査の発展のために学術的な調査研究も行う。
また、地面の中を探ることで、未知のことを発見する楽しさがある。加えて、技術の進歩に伴い、新しい技術や手法を学び、実際の問題解決に役立てることができる。
地質調査を行っている地質調査会社は全国に約500社。大きな会社では1000人を超す企業もあるが、地方の小さい会社では数人で仕事をしているところも。
地質調査に必要な資格として地質調査技士(現場技術・管理部門)があるが、全国で約8,500人が登録されており地質調査に従事している。
企業により変わるが、大卒初任給(基本給)で月額21.5~24.0万円程度。基本給のほか、資格手当なども支給される。
平均年収は45~50歳で500~680万円程度。
地質調査技術者には、高専・大学・大学院での理系の様々な学部の出身者がいる。また文系でも地理学・地形学を学んでいる人もいる。
地質を専門とする技術者は、例えば理学部の地質学科・地球物理学科などを卒業している人が多く、土質や地盤工学については土木工学科、建設工学科、社会基盤工学科といった学部の出身者も多いのが特徴だが、それ以外にも農学部の環境系、工学部の化学系の出身者もいる。
いずれにしろ地球を対象とした調査を行うので、様々な専門家が活躍できる場があるのが地質調査の特徴だ。
就職については、全国の地質調査会社、地質調査部門のあるコンサルタント会社などから求人募集がある。地質調査を行っている企業は、全国で事業所を展開している会社、あるいは地方に根付いた会社など様々な規模で広がっている。最近は、女性技術者も増えてきていて、男女区別なく働くことが出来るようになっている。
地質調査技術者は、地面の中を調べることで多くの人々の生活や経済に貢献する重要な仕事をしている。地質調査はビルや構造物の設計・工事には必ず必要なので、将来的も仕事がなくなることはない。
地質調査技術者を目指す人は、地質や地盤に関するイベントに参加し、調査技術者の魅力を実際に目で見て、肌で感じてみよう。その魅力を十分に感じそして社会の役に立ちたいという強い想いがあれば、良い就職先と巡り合うことができるはず。
日本はヨーロッパやアメリカにくらべ地質構造や地形が複雑で、地震や土砂災害などの自然災害も多く、高い地質調査技術が必要とされる。そのため、調査技術者の仕事は特に重要。安全な建物やインフラを作るためには調査技術者の知識と技術が不可欠だ。
最近は、再生可能エネルギーとして風力発電や地熱発電のための地質調査も増えている。これからの地球環境のためにも必要な仕事。さらに、熱海の土石流災害などを受けて規制が厳しくなり、建設工事で土砂を動かすためにはまずは調査が必要なので、需要は増加している。
地盤の専門家なので、知人や友達、親戚から家を建てる時に地盤の相談が寄せられ、重宝がられることもある。
最近の地質調査では、ドローンやレーダー、AIなど最新技術を導入しており、新しいことにチャレンジできる業種だ。
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世界に誇る日本の建設技術を根底で支えているのが、地質調査。複雑な日本の地質構造の解析を自分の手で行うことにより、建設技術を根底で支えるという自覚と誇りを持つことができる。
現場は教科書に書いていないこともたくさん学べる教材なので、たくさんの経験を積んで、自分に適した分野を見つけていこう。
数学、物理学、化学、生物学、地球科学の基礎知識の他、考える力が必要となる。調査結果をまとめるためには、自分が理解するだけでなく、様々な人に言い伝える表現力や説得力も必要で、いろいろな意味で勉強になり幅広い知力が養える。
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