テレビ業界で働く
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テレビ局にはNHK及び民放のキー局と地方局、それに衛星放送やCATVといった新興のテレビ局がある。このなかでもっとも社員の採用数が多いのはキー局で、局によっても異なるが、制作、技術、アナウンサーなど、大まかな職種別に採用を行うところが増えている。実際に入社してからの仕事は、さらに細かく、制作、報道、編成、営業などに分かれている。衛星放送や各種のイベントなどの仕事も増える傾向にある。このうち編成や営業、報道といった分野は主としてテレビ局の社員の仕事となる。実は日本には400以上のテレビ局(※1)がある。デジタル化や多チャンネル化の掛け声とともに、BS、CS、CATV、さらにはブロードバンド系(現在のところ放送免許がとれないので「通信」扱い)まで、いわゆる地上波以外の放送局が増えたからだ。これらのなかにはキー局など従来のテレビ局の傘下にあるものと、独立したものがあり、他業種から進出を図る例も多い。ただし今後デジタル化がどう進むのかなど、将来性は未知数。だが番組の数が増えたことだけは確かで、テレビに関わる仕事は一気に増えた。逆にこれまでは地域の電波を独占していた地上波地方局の地位は低下、経営状態は悪化しており、採用数も減っている。
こうした多チャンネル化を支えているのは、すでに実績のある制作会社だ。こと番組の制作だけに関すると、民放キー局にしても、大半は制作会社の力を借りて行われている。一口に制作会社といっても、企画を局に持ち込むなど、ひとつの番組の制作全般の中心になる会社、部分的に協力する会社、ディレクターやアシスタントディレクターなどの人材を派遣する会社、技術や美術専門の会社などがある。大手のなかには社員数百人を超え、定期的に新卒社員の採用を行っている会社も珍しくない。また契約社員を多くしたり、番組ごとにスタッフを集めるなど、採用そのものを柔軟にとらえているところも多い。ただし一般的にテレビ局の社員より労働条件は厳しい。テレビ局の社員が制作会社をおこしたり、制作会社の社員がテレビ局に引っ張られたり、実力のあるディレクターがフリーランスになったりすることもある。ほかのマスコミに比べて人の動きが活発な業界だ。
※1 編集部注:平成22年度末時点での地上系放送事業者数は、地上系一般放送事業者440、ケーブルテレビ事業者665。(NHK及び放送大学学園は含まない、総務省 情報通信統計データベースより)
テレビ局で働く人の正確な数は分らないが、放送記者が5000人、ディレクターが4000人、アナウンサーが2500人、放送技術者(ラジオ含む)が6000人程度という推計値がある(※1)。業界全体では数万人が働いているともいわれていて、民放キー局の従業員数に限ってみれば、各局数百人から、せいぜい千数百人と、その売り上げ規模、社会的影響力に比べると決して大きくはない。
※1「職業データベース」独立行政法人 労働政策研究・研修機構より
平均年齢39.8歳で平均年収1567万円というフジテレビジョンを筆頭に、テレビ局社員の年収はかなりの高額。キー局の番組制作現場では30歳で年収1000万円を超えることも少なくない。一方、地方局の平均年収はその2~3割減といったところ(※1)。さらに、下請けの番組制作会社になると、重労働にもかかわらず30代半ばで年収400~500万円程度とぐっと低くなる。(※2)
※1『週刊ダイヤモンド(2005年11月5日号)』ダイヤモンド社よりp54
※2『業界図鑑2006』実業之日本社よりp278
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テレビ局への入社希望者は制作部に入り面白い番組作りをするんだと思い描きがち。けれど、放送局といえどあくまでも企業のひとつ。営業や人事、経理などの部署に配属されることもあり、番組作りに携われるのはほんの一握りに過ぎない。ディレクター職から営業職への配置転換なども頻繁に起こる(※1)。現場での番組作りにこだわるなら、制作会社に就職する方が仕事内容としては合っているかもしれない。
※1 『業界図鑑2006』実業之日本社よりp279
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