作家


<< 書籍「13歳のハローワーク」の職業解説 >>

13歳から「作家になりたいんですが」と相談を受けたら、「作家は人に残された最後の職業で、本当になろうと思えばいつでもなれるので、とりあえず今はほかのことに目を向けたほうがいいですよ」とアドバイスすべきだろう。医師から作家になった人、教師から作家になった人、新聞記者から作家になった人、編集者から作家になった人、官僚から作家になった人、政治家から作家になった人、科学者から作家になった人、経営者から作家になった人、元犯罪者で服役の後で作家になった人、ギャンブラーから作家になった人、風俗嬢から作家になった人など、「作家への道」は作家の数だけバラエティがあるが、作家から政治家になった人がわずかにいるだけで、その逆はほとんどない。つまり作家から医師や教師になる人はほとんどいない。それは、作家が「一度なったらやめられないおいしい仕事」だからではなく、ほかに転身できない「最後の仕事」だからだ。服役囚でも、入院患者でも、死刑囚でも、亡命者でも、犯罪者でも、引きこもりでも、ホームレスでもできる仕事は作家しかない。作家の条件とはただ1つ、社会に対し、あるいは特定の誰かに対し、伝える必要と価値のある情報を持っているかどうかだ。伝える必要と価値のある情報を持っていて、もう残された生き方は作家しかない、そう思ったときに、作家になればいい。

<< 編集部の職業解説 >>

文章を書いてそれを商品として売り、収入を得るのが作家だ。作品は発表して、まず原稿料が支払われ、単行本が売れれば印税が支払われる。作家の書く作品は小説、随筆、ノンフィクションなどに分かれ、小説は純文学系とエンターテイメント系に分かれる。エンターテイメント系の小説はさらに歴史、SF、推理、恋愛など多くのジャンルに分かれる。以前は新聞、雑誌や、単行本で発表という形が一般的だったが、最近ではインターネットや携帯電話に配信して読むタイプのものも出てきている。単行本には、最初から書き下ろす場合と、新聞や週刊誌、月刊誌などに連載されたものを後からまとめる場合がある。作家としてやっていくには、読者にとって有益となる文章を書く能力に加え、自分の考えや個性を文章の中に表現する能力が必要だ。正に実力の世界のため目指す人は多いが、作家として生きて行けるのはそのうちの一握りしかいない。

現在、活動している作家の正確な数は不明ですが、2000年の国勢調査の時点で3万3600人が文芸家、著述家として働いていました。ちなみに、2003年に新刊として発行された書籍の出版点数は7万5530点。そのうち文学部門だけでも1万2738タイトルにおよんでいます。(※1)

※1『出版年鑑』出版ニュース社より

例えば400字詰め原稿用紙で1回30枚の小説を1年間月刊誌に連載する場合、新人の原稿料が1枚2500円として1回あたり7万5000円、年間で90万円。これが1500円の単行本としてまとまり、印税率10%で5000部売れたとして75万円。原稿料とあわせて165万円程度の収入となります。(※2)。一方で、ベストセラー作家ともなると年収は数千万円から数億円に。その知名度や創作意欲を活かして、政治・教育・文化・芸能活動など、作家の枠を超えて幅広い分野で活躍している人も少なくありません。

※2『作家になるには』ぺりかん社よりp128

作家になるための決まったコースはありませんが、文芸誌などが主催する新人賞に応募したり、知り合いの編集者に持ち込んだりしてデビューを果たすケースが多いようです。また最近では、同人誌でずっと作品を書き続けたり、ホームページ上で公開しつづけていた作品が人気を呼び、編集者の目に留まったりすることも。医師や教師、会社員、編集者など、本職を持ちながら作家として活動したり転職したりする場合もあります。

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