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もっと教えて!フォーラム
回答・コメントする(No.3054)

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もっと教えて!フォーラム 質問 弁護士って

[Q] 弁護士になりたいっす!!

将来採用試験で合格者がどんどん出てきたら
弁護士、事務所があまったりしないんですか??[size=3][/size][color=gray][/color] :-/

[A.2]

aquariusです。続きを記述します。

但し、注意して頂きたいのは、現行の司法試験は2010年まで並存しますが、2011年以降は新司法試験が司法試験となって行きます。(この時点から、司法試験本試験と成るようです。因みにココより、司法試験予備試験が開始されます。)そうなれば、ロースクールへの進学が基本となります。従って、教育費(いわゆる授業料です。)が多く掛かります。ロースクールの年額授業料は、年額2,000,000円程度です。それが、2~3年続きます。大学学部での教育費に加算しますと、+9,000,000円程度であり、私立大学学部から通算すれば、『ロースクール卒業までの総教育費が20,000,000円程度』と成ります。勿論、学生の能力によって減額は可能ですが、それにしても多くの経済的負担がのしかかります。この点を、踏まえて進学を決定して頂きたいと思います。付け加える点が、1点あります。司法修習生の給与が、現在は給付制と成っていますが、今後は貸与制へと移行します。返還義務は、弁護士職就業後に、10年程度に分けて返済する様です。現行の給付額は、国家公務員Ⅰ種採用者とほぼ同等額の200,000円強です。
多くの法科大学院生は、自ら金融機関から教育ローンを組み、背水の陣で勉学に勤しんでいます。この職業へ就業の意思が強く、進路を決定されるのならば、生半可な気持ちでは、生き残れるどころか、就業も難しいでしょう。

今は、中等教育課程の勉強を精一杯学習し、高い学力を身に付けて行って下さい。唯、知識偏重ではなく、論理的思考が出来るような、基礎的論理力を身に付けることです。いかに少ない知識・経験から、答えがない又は未知な問題を推論し検証出来るかと言った、応用力が重要なのです。今後の大学への入試で通る、大学入試センター試験でも、既存のマークシート解答から、論述させる記述式問題の導入が囁かれ始めています。既に、高校中退者等が受験する、高校卒業認定試験(旧大学入学資格検定)と同じように、高校課程卒業者へも、卒業認定試験を課すとの報道もあります。

強い意志を持ち、時代に流される事なく、常に向上して行く意識で社会へ挑戦して行ってください。貴方の夢の実現・成功に対して、心よりお祈り申し上げます。ではまた。。(ご質問が有りましたら、お受けいたします。)


[A.1]

aquariusと申します。ご質問の件につきまして、拙い回答では有りますが、お答え致します。

現在は試験制度が並存している為、新司法試験及び旧司法試験に分かれている。ココでは、法科大学院『正式には大学によりけりだが、●●大学大学院実務法務研究科実務法務専攻、等と言う』を経て受験する新司法試験について記述します

現在の新司法試験では、受験者数5,400人程度に対して、合格者数が1,800人程度と成っている。対受験者数に対して、最終合格率は3割弱と成っている。因みに、今月の新司法試験合格後の司法修習修了者から、初めての裁判官任官が始まった。各法科大学院によって、試験合格率はマチマチとなっているが、従来の司法試験五指となる大学の課程出身者は多くが合格している。

さて、現状の弁護士職への就業状態だが、法科大学院自体の評価が余り芳しくない様である為、新司法試験合格者より、従来の司法試験(旧司法試験)合格者の方を選択する法律事務所が多々ある様である。また、司法改革に伴って、司法試験合格者を増加させ、司法過疎解消を含めた日本の潜在的法律問題解決に向けた取り組みに相まって、法曹の質の低下が危惧されている。事実、過去には例がない位の司法研修所司法修習修了考査(司法試験第二回試験と言われている)での、不合格者(落第者)が100人を超える状況と成っている。是は、安易に試験合格者を増やした過ちの一つと成っており、現在の司法試験のあり方や法曹制度全体のあり方に疑問を投げかけ、その制度再改正へ拍車をかけている点も無きにしも非ずである。だが、全ての試験合格者の質が低下していると言う訳ではなく、一部の合格者が司法修習での研鑽を怠っているか、又は机上の理論に裏付けられた実際の法的問題に対して、法曹としての適性が疑問視される点が問題ではないかとの見方もある。

無事に法曹資格を得て、弁護士として就業する際に問題となっているのが、受け入れる側、採用法律事務所の相対的な許容量の問題である。就業希望者に対して、法律事務所求人数が少ない為である。現在の法曹界での弁護士需要は、正に売り手市場である。
では、必要とされる弁護士像とはどの様なものであるか。現在の弁護士数は日本弁護士連合会登録数より、25,000人強である。その中で、採用を勝ち取る為には、自らのカラーを打ち出す必要がある。例えば、『倒産法務への高い理解がある』又は『消費者法務へ専門的に従事し、第一線の実務法律家となる』等、その専門とする分野への専門的能力及び強い意志を、採用試験時にプレゼンテーション出来るかである。元々、弁護士はクライアント(依頼者)との『ラポート(信頼関係)形成』の上に成り立つ職業である。その目的に沿った成果を上げられなれければ、報酬獲得へと繋げられず、更には多くのクライアントを獲得出来ない。その為、弁護士就業希望者が多い昨今、より高いポテンシャル(潜在能力)を持った者を採用したいと、採用者側の意図がある。

医師の世界でも、標榜科目の専門分野を明示する事が可能となった。例えば、内科とだけではなく、内分泌線内科等である。弁護士でも同じことが言える。従来の広告解禁からも言えるが、専門分野を掲げる弁護士が存在して来ている。具体的には、民事一般ではなく、『医療過誤法務・消費者法務』等である。これは、独自のカラー(専門分野)を明示し、自身のその該当分野への高い知識・経験・法務能力を表明し、クライアントのニーズ(要望)へ適切に答え、相まって収入の確保、以って社会貢献を果たす為である。

ご心配の件ですが、高い能力を持った弁護士ならばその自身の能力(商品力)を売りに、将来の展望が明るく出来るのではないでしょうか。何かに依存する時代は既に去っています。社会の構造変化から、終身雇用制及び年功序列型賃金制度は崩壊しつつあり、リストラクションソーシャルティを経て、能力実績主義雇用及び同賃金制度へと変化しています。試験最終合格率や採用倍率等の数字に惑わされる事なく、ご自身の希望する法務への強い意志を持ち続けて行くならば、必然と明るい未来は到来します。