HOME > 特集記事 > 業界特集「総合建設業(ゼネコン)の仕事」
水道の蛇口をひねると勢いよく水が出て、電気のスイッチを入れると部屋がパッと明るくなります。外にはマンションが立ち並び、学校や役所、警察署などがあり、そこへ行くための道路や鉄道といった交通網が整備されています。
普段、私たちは、それが当たり前のことのように生活していますが、それらは誰がつくったのか、考えたことはありますか?
ここでは、生活空間と街をつくる、総合建設業の仕事について解説します。
[INDEX]
一戸建てのような家を建てるのは、大工さん。それに対して、高層マンションやオフィスビル、学校、病院、ホテルから、ダムや発電所、道路、橋、トンネル、鉄道、空港、港まで、大規模で高度な技術が求められるものをつくるのが総合建設業です。といっても、総合建設業で働く人が自らトンカチを持ったり、鉄筋を組み立て、クレーンで材料を吊り上げたりするわけではありません。鉄筋組み立てやクレーン操作のプロを集め、チームとしてまとめるのが仕事なのです。
総合建設業で働く人はほかにも、新しい技術の研究開発や、クレーンのような重機や材料の調達、スケジュールの調整なども行います。
このように、総合建設業で働く人は、建物の設計や材料・重機の調達、実際の工事・スケジュールの管理など、実にたくさんの種類の仕事を、その道のプロを束ねながら進め、私たちが生活するための空間や街をつくるのです。
〔地図に載り、歴史に残る、総合建設業の仕事〕
ここで、街には何があるのか、ちょっと振り返ってみましょう。たくさんの人が暮らしている高層マンションや、毎日みなさんが通う学校があります。お父さんが通勤で利用する鉄道、職場のオフィスビル、仕事の後に立ち寄るジムもあれば、お母さんが買い物に行くスーパーやショッピングセンター、余暇を楽しむコンサートホールもあります。さらに、生活に欠かせない、ガスや水道、電気といった、ライフラインと呼ばれる設備も、縁の下の力持ちとして私たちの生活を支えていますね。これらすべてに関わっているのが、総合建設業です。そのように考えると、街は、まさに総合建設業の成果物の宝庫ですね。
このように、総合建設業は、私たちの生活を支えるあらゆるものをつくるお手伝いをしています。そのようにしてつくられた道や学校、病院は地図に載り、街の表情をつくっていきます。そしてそれらは、100年後、いえ1000年後も、そこにあるかもしれないのです。そのときは、歴史的建造物として、まさしく“国の宝”になっているかもしれません。
生活空間と街をつくる仕事って、なんだかスケールが大きい話ですね。では、具体的に建造物を見てみましょう。
総合建設業では、営業、研究開発、施工管理など、さまざまな職種の人が働いています。それぞれの担当者が連携することで、受注から竣工(※1)まで、巨大なプロジェクトを動かすことができるのです。
※1 編集部注:工事が完成すること。
総合建設業で活躍している人の話を聞いてみましょう。
営業
地域開発や企業の進出など、つねに情報収集に努め、発注者から要望を聞き、社内の各部門と協力して、提案書をまとめます。直接発注者に接し、会社の窓口として、大きな役割を担います。
何年も残るものを作ることのできる建築業。
営業は、お客様と心の交流ができる。
大きなプロジェクトを受注したくて・・・
多くの仲間達とプロジェクトを成し遂げた時の達成感!
研究開発
工法(※1)の研究や、資材の開発を行うことで、理想的な生活空間や街づくりの実現を追求します。また、工期(※2)短縮やコスト削減というメリットを考えることにより、発注者の期待に応えます。
※1 編集部注:工事方法/※2 編集部注:工事期間
自然の力や大きさに敬意を払いつつ、知識を積み上げる。
人々が何十年も使う建物に活用される技術を開発する。
地震で建物がどのように揺れ、壊れるのかを研究。建物を守る!
得意な図工や数学を生かせる進路として建築に興味を持った。
設計(土木設計、建築設計、意匠設計、構造設計 etc.)
利便性やメンテナンス性を追求するのはもちろん、デザインを工夫して発注者の満足を得ます。
小さいころからモノをつくることが好きで、設計へ。
歴史に残る構造物の設計、途上国のインフラ整備への協力が夢。
小さい頃から間取り図を見るのが好きで、自分で設計したくなった。
設計した建物が完成し、使われているのを見るのは、うれしい。
設備
エレベーターや空調、電気などの設備の配置などを考え、設計書やスケジュール通りに工事が行われているか現場でチェックします。
「大きな形」として残る仕事に憧れました。
紙上の絵が建物になり、竣工した時の感動は想像以上。
現場をきちんと知った上で、ゆくゆくは設計にも携わりたい。
建物に照明が点き、水が出るようになったときに喜びを感じる。
施工管理(国内)
現場監督として、各工事の図面チェックからスケジュールや作業順序の確認、原材料の購入に必要なお金の計算、品質管理、工事中の安全性まで現場全体を見渡し、工事がスムーズに進むよう、日々指示調整を行います。
小さい頃からモノづくりが好きで、土木工学科に進学。
街のシンボルとなる建築物をつくりたい!
家族旅行でシンガポールに行った時、建設中の建物を見て感動!
会社名がかっこいいと思い、面接を受けた。
施工管理(海外)
仕事内容は、国内と同じですが、スタッフが外国人なので、その国の文化や慣習を踏まえることが大事です。
祖父・叔父の影響から、モノ作りと海外業務が夢だった。
海外、チームプレー、カタチに残る、3つを満たす仕事が建設業。
自分の意見や思いを英語で正確に伝えるのは非常に難しい。
絵を描く、プラモデルを組み立てる事が好きで、建築学科へ。
海外での建物作りは苦労も数倍だが、大きなやりがいを感じる。
事務
本社や工事現場での仕事がスムーズに進むように、重要な役割を果たしています。 本社では、会社の資金の管理や計算、社員の健康管理、社内外とのコミュニケーション促進、また現場では、予算の管理や資材の発注、事業主や近隣への対応など、あらゆることを行います。
自分も海外でダイナミックな仕事がしたいと思った。
会社にとって最も大切な「人」を担う!
経理、総務、労務・安全衛生など、やることはいっぱい。
社員が見て喜ぶ顔が、社内報編集の大きなはげみ。
●進路
総合建設業への就職は、高等学校、高等専門学校、大学、大学院からが一般的です。大学卒業を例に、出身学部・学科と就ける職種について紹介します。学校で学ぶ分野を選択するにあたり、ビルや施設等の建物をつくる「建築」、橋梁(※1)や水道等の社会基盤をつくる「土木」、施設の中に入れる設備に関わる「機械」「電気」「化学」、予算の立案や人の配置等を行う「文系一般」に大きく分けることができます。※1 編集部注:河川・渓谷・運河などの上に架け渡し、道路・鉄道などを通す構築物。橋。
●資格
資格は、仕事に就いた後、経験を積む過程で取得していくケースがほとんどです。その例を以下で紹介します。
〔資格例〕
技術士/一級建築士/1級土木施工管理技士/1級建築施工管理技士/1級電気工事施工管理技士/1級管工事施工管理技士/1級建設機械施工技士/1級造園施工管理技士/ダム工事総括管理技術者/一級建設業経理士/宅地建物取引主任者
中・高校生に送る「業界特集」
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地域のくらしをバックアップする
司法書士の仕事 -
生活空間と街をつくる
総合建設業の仕事 -
巧みなストーリー展開で、視聴者のハートをつかむ
ドラマづくりの仕事 -
大海原が人生のステージ
海運の仕事 -
“キレイ”をつくるプロフェッショナル
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