HOME > 特集記事 > 13編集部 シリーズ特集 > 仕事選びでも注目される“環境”というキーワード」
“環境の世紀”と呼ばれる時代、企業にとって環境への取り組みは今後の成長を左右するカギとなっています。また、子どもにとっても“環境”はわかりやすく、関心を持ちやすいテーマ。「環境を守りたい」という動機から、環境に関わる仕事を志す若者たちが増えています。「環境保全に関わる仕事に就く=環境対策の商品・サービスを提供する企業に就職する」にとどまらず、その働き方はすべての業種・職種へと多岐にわたっています。
“環境就職” “グリーン雇用” “エコ就職”といった言葉も登場する中、環境をキーワードに据えた仕事への取り組み方、選び方について紹介します。
[INDEX]
環境マネジメントで“持続可能な開発”を目指す
今や「環境と経済の共生」は企業経営の重要テーマです。環境保全を経営の重要として扱い、真剣に取り組み、その取り組みをアピールしていくことが、今後、企業が生き残る上では必須条件となるでしょう。その企業活動と環境問題を語る上で外せないキーワードが“持続可能な開発”です。
「環境と開発は共存できるものであり、環境保全を考慮した節度ある開発が重要である。将来の世代が開発を持続できるよう、現代に生きる世代は限られた範囲内で環境を利用しよう」という“持続可能な開発”の概念は、1992年にブラジルで開催された“地球サミット”で提唱され、世界の環境対策に大きな影響を与えました。
そして、その手法のひとつとして、環境マネジメント(資源を消費し、汚染物質を作り出してきた企業活動を自ら点検し、環境への負荷を減らす努力を続けていくしくみ)への関心が世界中の企業や組織の中で高まってきました。
とくに、1996年に発効された国際環境マネジメントシステム規格ISO14000シリーズ(注)は、「地球環境に配慮した企業である証」として、認証取得企業が相次ぎ、取得に取り組む上場企業数は年を追うごとに増加しています。「環境への取り組みはビジネスチャンスである」と考える企業も増えてきているのです。
注)ISO14000シリーズ…地球サミットにおいて採択された行動計画「アジェンダ21」をフォローする目的で制定。シリーズ中のISO14001は環境マネジメントシステム(EMS)の構築法について定めた仕様書となっている。

※資料:環境省「平成16年度 環境にやさしい企業行動調査結果」
生まれたときから環境問題が身近に
一方、環境保全に関わる仕事を目指す若者が増えているのはなぜなのでしょう。
オゾン層破壊や地球温暖化、酸性雨、砂漠化といった地球規模に及ぶ広範囲な環境問題が浮上し、国際的な取り組みが始まったのは1980年代以降。現在10~20歳代の若者たちの誕生と同時期にあたります。
彼らは、学校の授業やテレビのドキュメンタリー番組などを通じて、環境問題を見聞きしながら育ってきました。そうした経験から、「環境」は自分の将来を考えたり、生きる上でのひとつの分かりやすく、関心の抱きやすいキーワードとなっているようです。
環境省が小・中学生を対象に行った調査では、「環境を守ると生活が豊かになる」と回答した人が80%にも上りました。
また、60%が「環境保全のために積極的に行動したい」、「環境のことについてもっと知りたい」と答えており、その関心の深さがうかがえます。

※子どもエコ・アンケート(小中学生版「環境にやさしいライフスタイル実態調査」環境省)
(平成15年度調査 回答者:全国の小学5年生、中学2年生 有効回答数:2,221人)
JUNECこども国連環境会議
「環境問題についてもっと知りたい」「環境に関わる仕事がしたい」という若者たちを支援・育成するイベントも行われています。
2005年2月に開かれた「JUNEC国際フォーラム2005-持続可能な開発に向けた青少年会議」もそのひとつ。次世代の環境リーダーを育成することを目的として、環境省・地球環境審議官やNPO法人の環境問題研究員による講演やワークショップが行われました。
私たち『13歳のハローワーク』編集部もこのイベントに参加し、環境と仕事との関わりについて考えるワークショップ『‘13歳のハローワークマップ’で仕事探しの旅に出よう』を実施しました。
【参加者の声】
●どの分野の職業でも環境に対しての取り組みができることがわかりました。
いろいろな職業があり、関連し合っているということがわかりました。
●すでに環境対策を行っている会社が多くあるということを初めて知りました。
自分も将来そういうことを行えるような人間になりたいです。
●なりたい職業を「これにしようかなー」くらいの軽い気持ちで考えていたけど、深く、うらまで見ようと思った。今回進路に悩んでいたので助かりました。
企業の環境保全への取り組みは年々盛んになっています。代表的な活動事例を紹介しましょう。


「森を守りながら紙をつくる ~FSC森林認証紙の製造~」
森林認証とは、「世界の森林環境を改善しよう」という民間レベルの取り組みとして、1990年代に誕生した制度。森林が適切に管理されているか、第三者機関が評価・認証を行う。
三菱製紙(株)では、機関のひとつであるFSC(Forest Steward Council:森林管理協議会)の認証を受けた森林から産出されたチップを原料とする「FSC森林認証紙」を製造。
認証材以外の使用材についても、社会や環境面で問題のある木材が混入しないよう、確実な管理体制を整えている。
※この活動は(2)章で紹介したJUNECフォーラム分科会の『13歳のハローワーク』によるワークショップでも発表されました。


「使用済みコピー機の100%リサイクルを実現」
最新技術を有するリサイクル企業との協力により、回収した使用済みコピー機を分解し、部品材料の元素分解まで行うという徹底ぶりで再資源化。これにより、従来リサイクルでは約80%だった再資源化率をほぼ100%にまで向上した。
さらに、この「廃棄ゼロ」への流れをマネジメントシステムとして体系化し、全国的に展開している。


「低公害車の導入と新型焼却炉で大気汚染を軽減」
車の排気ガスによる大気汚染を防ぐため、大都市地域で使用する営業車や事務用連絡車に天然ガス車の導入を進めている。天然ガス車は光化学スモッグや酸性雨の原因となる窒素酸化物、一酸化炭素などの排出量が少なく、硫黄酸化物をまったく排出しないという特長をもつ。
また、ダイオキシンの発生を抑えるため、事業所に設置していた従来の焼却炉をすべて撤去。工場では、有害物質の排出抑制機能がついた新型焼却炉を導入している。


「排水処理システムで、使った水をきれいにして自然へと返す」
ビールの製造過程や、ビールびん洗浄などの製造工程で使用した後の排水は、浄化処理を行ってから工場内の緑化やビオトープ(生物が暮らす場所)づくりに再利用している。神戸工場ではビールタンクや配管洗浄の最終すすぎ水をリサイクルすることで、使用水量を従来の半分に減らした。

神戸工場での洗浄水のリサイクル利用
環境関連のイベント情報告知や就職先紹介などを行っているサイトを集めました。環境保全の仕事を目指す人や環境問題に興味のある人はぜひアクセスを。
<環境関連のイベント情報などを入手できるサイト>


NPO・NGOや法人、行政などが主催する環境イベントやボランティア情報を、開催地域や日時、イベント内容ごとに検索できるサイト。他にも、全国のNPOなどの団体情報やスタッフ募集、書籍情報といった環境関連の幅広い情報が掲載されている。環境省とNGO、国際連合大学の共同事業である、地球パートナーシッププラザ(GEIC)と環境パートナーシップオフィス(EPO)が運営している。
<環境の仕事を目指す人たちのためのサイト>


日本初の環境分野専門の民営職業紹介機関として、環境分野の求人・人材情報サービスを提供。また、同社主催によるセミナーやイベントも実施している。5月16日には国内の環境企業、団体、機関の網羅的かつ効率的な探し方を伝授する「環境就職・転職セミナー」を行う予定。


国際青年環境NGO・A SEED JAPANの「企業の社会的責任とオルタナティブな職を考えるエコナビチーム」が、“エコ就職=環境・人権に配慮した就職・転職”を考える学生や社会人を応援するためにつくったサイト。エコ就職した社会人たちの体験談が数多く載っており、環境の仕事を目指す人の参考になる。
環境汚染が始まったのは、18世紀にイギリスで起こった産業革命以降と言われています。当時、工場の煙突から排出される黒煙は、大気を汚すと危ぶまれるどころか、工業発展の象徴として人々に歓迎されたとか。
時は流れて現代。地球をとりまく環境に人々が危機感を抱き始めてから、保全を目的としたさまざまな仕事が登場しました。対策を行う上で必然的に生まれた「環境の仕事」ですが、これからは問題が発生しない社会のしくみをあらかじめ築いていくことが求められています。
そうした場面で活躍するのは、ここで登場したような、持続可能な社会をつくる意志を持つ若者たちであり、既に取り組みを始めている企業です。
私たちひとりひとりがそのことに気付き、リーダーを育て、未来に生きる世代へと確実にバトンをわたしていくこと――それこそが成熟社会のひとつのかたちと言えるのではないでしょうか。
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