海上自衛隊


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海上自衛隊海上からの侵略に備え、海上交通の安全を守るのが海上自衛隊の本分である。その組織は機動部隊である自衛艦隊(護衛艦・航空機・潜水艦など)と、担当区域の海上防衛・後方支援を行う全国5個地方隊に分かれる。

飛行

飛行任務部隊。大型哨戒機、水上救難機、艦載ヘリコプターなど、海上自衛隊保有の飛行機やヘリコプターの搭乗員である。

航空管制

飛行場で無線やレーダーを用いて、周辺を飛行、離着陸する航空機の誘導を行う。

航空機整備

飛行機の機体、エンジンなどの整備を行う。航空機体、航空電子、航空武器、航空発動機、航空電気計器に分かれる。

射撃

護衛艦などで、ミサイルや砲を用いて各種目標に対する攻撃を実施。ミサイルや砲の整備や弾火薬の取扱も行う。

航海・船務

艦艇の艦橋で航海に関する業務を行ったり、レーダー、電波探知装置を用いて戦術活動を行う。

電測

最新のIT機器を使って情報を収集し、艦船の内外に配付する。艦船の頭脳的部署。

情報

情報資料の収集、処理及び情報の配付、秘密保全、映像技術及び関連機材の操作、整備を行う。具体的には写真やビデオを撮影したり、資料から情報を分析したりする。

機関

エンジン発動機等の運転、整備及び火災、浸水対処業務を行う。蒸気、ディーゼル、ガスタービンの区分がある。

水雷

護衛艦、潜水艦で魚雷及びソナー等水中検索武器を操作し、潜水艦の捜索、攻撃を行う。魚雷と水雷に分かれる。

掃海機雷

掃海艦艇等で機雷探知機、掃海具等を操作し、機雷の処分や調整、関連機材の整備を行う。

艦船整備

艦船そのものや艦船用電気機材、船用品等の修理、整備、補給に関する業務を行う。電子整備、電機に分かれる。

衛生

病院における医療や健康管理、身体検査を実施するとともに、潜水に関する調査、研究を行う。

気象海洋

気象、海洋観測、それらに基づく天気図類の作成を行い、海洋関係の情報伝達業務を行う。観測艦などで南極に観測へ行くこともある。

法務

訴訟、損害賠償、損失保障及び海難審判などに関する業務を行う。幹部自衛官向けの頭脳労働職。

経理・補給

旅費等の予算作成、資金調達、支払い、隊員の給与計算などの会計業務を行う。

潜水

アクアラングを使用した潜水を行い、機雷等爆発物の捜索、処理、船底調査等の水中業務を行う。

施設

国有財産についての管理運用や、施設機材、車両を用いての建設作業、道路工事、それらの関連機材の整備を行う。

音楽

6つの専従音楽隊があり、各種イベントや儀式などで演奏を行う。

[取得可能な資格]

飛行
ジェットパイロット/ヘリコプターパイロット免許
航空管制
丙種陸上無線通信士、航空無線通信士、航空交通管制基礎試験合格証明書、航空交通管制技能証明書4種類
航空機整備
JIS溶接/ガス溶接技能者、一般毒物劇物取扱者、非破壊検査技術者、電気工事士、電気主任技術者、情報処理技術者、高圧ガス製造保安責任者、火薬類取扱保安責任者、大型運転免許、牽引免許、危険物取扱主任、フォークリフト免許
射撃
4級小型船舶操縦士、乙種危険物取扱責任者、乙種火薬類取扱責任者
航海・船務
4級海技士、玉掛け技能、クレーン操縦士、4級小型船舶操縦士
機関
1級/2級ボイラー技士、ボイラー整備士、公害防止管理者、機関4級海技士(内燃)、高圧ガス製造保安責任者(乙種機械)、冷凍機主任取扱者、電気工事士、高圧ガス取扱責任者
水雷
4級小型船舶操縦士、危険物取扱者、火薬類取扱保安責任者
掃海機雷
4級小型船舶操縦士、火薬類取扱責任者、フォークリフト免許、クレーン免許 
艦船整備
特殊無線技士、第1級陸上特殊無線技士、第1級/第2級陸上無線技術士、工事担当者アナログ第1種、第2種電気工事士、第3種電気主任技術者、危険物乙種4類、第3種冷凍機、消防設備士乙種4類、2級ボイラー技士
補給
危険物乙種4類、大型特殊運転免許、フォークリフト荷役講習修了証
衛生
准看護師、看護師、保健師、救急救命士、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士
気象海洋
気象予報士、測量士補
経理
ワープロ検定、2級/3級簿記検定
潜水
潜水士免許
施設
大型/大型特殊免許、建築士、測量士、ボイラー技士、電気主任技術者、電気工事士

*そのほかの業務に給養員、警務員、地上救難員、電計処理員などがあり、調理師免許、柔剣道段位、消防設備士、情報処理技術者などの資格が取得可能。

2005年3月31日時点における海上自衛隊の自衛官は4万4327人、陸上自衛隊の自衛官は14万7737人、航空自衛隊の自衛官は4万5517人となっています。(※1)

※1『平成17年版 日本の防衛‐防衛白書‐』防衛庁(現:防衛省)よりp401

海上の自衛隊の給与は細かい規定の中で決められます。目安として護衛艦の乗員の場合、高卒の3曹(25歳)で年収470万円。2曹(35歳)で年収690万円。曹長(50歳)で年収950万円です。また、防衛大卒の3尉(25歳)で年収510万円。3佐(35歳)で年収840万円になります。(※1)

※1『あなたの値段 当世給料事情』毎日新聞社よりp72

海上自衛隊の自衛官になるためには「自衛官等採用試験」に合格する必要があります。試験は、高卒者等を対象とした2等海士、曹候補士、一般曹候補学生や、大卒者等を対象とした幹部候補生など、学歴や志望などによって細分化され、採用区分によってその後の昇進や待遇も異なってきます。例えば、高校卒業後に防衛大学校で4年間学んだ場合は、卒業後1年で3等海尉という幹部になることができます(※2)。2004年度の採用数と倍率をみると、一般・技術幹部候補生(海)が118人(16.4倍)、一般曹候補学生(海)が225人(21.8倍)、自衛隊生徒(海)が71人(13.5倍)、航空学生(海)が73人(13.0倍)、曹候補士(海)が877人(7.4倍)、2士(海)が1377人(3.2倍)、防衛大学校学生が485人(29.2倍)、防衛医科大学校学生が69人(83.2倍)となっています。(※3)

※2 なりたい!しりたい!海上自衛隊より
※3 『平成17年版 日本の防衛‐防衛白書‐』防衛庁(現:防衛省)よりp402

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精強さを保つため、自衛隊には「任期制」と「若年定年制」という他の公務員とは大きく異なる制度があります。任期制とは2年または3年という期間を区切って任用する制度で、「士」という階級の多くがこの制度で採用されます。また、若年定年制とは定年の年齢が若く設定されていること。具体的には、将や将補というトップクラスの階級こそ、一般的な定年年齢である60歳ですが、階級が下がるにつれて1佐が56歳、2佐・3佐が55歳、1尉から2尉・3尉・准尉・曹長・1曹までが54歳、そして2曹・3曹が53歳と決められています(一部例外あり)。このため、退職予定自衛官に対しては再就職のための教育や訓練、採用の推進など、さまざまな「就職援護」が行われています。(※5)

※5『平成17年版 日本の防衛‐防衛白書‐』防衛庁(現:防衛省)よりp289

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