陸上自衛隊


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陸上自衛隊国土の防衛と治安の維持を担う。自衛隊のなかで、最大の規模を持つのが陸上自衛隊だ。その人員数は15万人で駐屯地は全国に約160カ所ある。

普通科

歩兵として地上戦の中枢を担う。陸上自衛隊のなかで、もっとも人数が多い。

野戦特科

火力戦闘部隊として、広範囲な地域を制圧。普通科を支援する。

高射特科

対空部隊として航空機などを射撃する。また対空の情報活動も行っている。

機甲科

戦車で敵を撃破するのがこの部隊の役割。偵察部隊もある。

施設科

道路や橋などの建設、測量、地図作成など。カンボジアの国連平和維持活動で道路を補修したのはこの部隊だ。

航空科

各種ヘリコプターを操縦し、対戦車ヘリコプターをはじめとする、偵察、輸送、空中機動、指揮連絡などを行う。地上部隊を支援する。

通信科

各種電子通信機材を使って、各部隊間の指揮連絡のための通信の確保、作戦情報のデータ処理などをする電子戦の主役。写真撮影などもする。

化学科

放射能および生物化学兵器に対応する。有毒物質、放射性物質などによる汚染から地域や人員を守り、汚染されたあとは除染措置を行う。

衛生科

患者の治療、医療施設への移送、部隊の健康管理・防疫などを行う。

需品科

食料、燃料、被服などの補給、各部隊への給水、入浴、洗濯などを行う支援部隊。

武器科

火器、車両、誘導武器の整備、弾薬の補給などを行う。また不発弾の処理も担当する。陸上自衛隊員の車検もここで行われている。

会計科

各駐屯地・部隊の予算作成、資金調達、支払い、隊員の給与計算などの会計業務を行う。

輸送科

各部隊、戦車、重火器、各種補給品を輸送する。また輸送の統制、ターミナル業務、道路使用規制なども行う。

警務科

警護、道路の交通統制、隊員の規律違反の防止、違反の取り締まり、自衛隊内での犯罪の取り締まり、部内秩序の維持を担当する。

音楽科

21の専従音楽隊(音楽活動が主任務の部隊)があり、国家的行事や演奏会など各種イベントで、年間約100回ほどの演奏活動を行う。

[取得可能な資格]

高射特科
大型運転免許、牽引運転免許、クレーン免許、危険物取扱主任
機甲科
大型運転免許、特殊車両運転免許、自動車整備士
施設科
電気工事主任技術者、電気事業設備主任、測量士、建築士、特殊車両運転免許、自動車整備士、大型・大型特殊運転免許
航空科
航空士、各種溶接士、ジェットパイロット/ヘリコプターパイロット免許
通信科
各種無線通信士、構内交換主任、各種無線技術士、特殊無線(レーダー)技士
化学科
科学作業主任、公害防止管理師
衛生科
看護師、歯科技工士、臨床検査技師、X線技師
需品科
大型/大型特殊運転免許、牽引運転免許、フォークリフト免許
武器科
危険物取扱主任、火薬類取扱保安責任者
会計科
税理士

<< 編集部の職業解説 >>

自衛官は、外部からの武力対撃に対しての防衛活動、災害など緊急事態が起きたときの救助活動や治安活動、海上における警備活動など、国の安全や平和を守るために貢献する仕事である。また海外に平和維持活動のため派遣された場合は、復興のための施設建設や、支援物資・医療物資の輸送、医療や建築などの技術支援なども行う。国内の平和を守ることだけでなく国際平和のために働くという仕事柄、知識や体力も、もちろん大事な要素だが、「世界が平和になってほしい」という気持ちや、連帯感、責任感、決断力がある人間が適していると言える。そのほか、団体生活を送る中での規律を守れ、礼儀が正しいことも欠かせない。

2005年3月31日時点における陸上自衛隊の自衛官は14万7737人、海上自衛隊の自衛官は4万4327人、航空自衛隊の自衛官は4万5517人となっています。(※1)

※1『平成17年版 日本の防衛‐防衛白書‐』防衛庁(現:防衛省)よりp401

陸上自衛隊の給与は細かい規定の中で決められます。目安として高卒の副分隊長クラスの3曹(25歳、独身)で年収380万円。分隊長クラスの2曹(35歳、妻・子1人)で年収560万円。小隊長補佐の曹長(50歳、妻・子2人)で年収780万円です。また、防衛大卒の小隊長クラスの3尉(25歳、独身)で年収400万円。中隊長クラスの3佐(35歳、妻・子1人)で年収680万円。連隊長の1佐(50歳、妻・子2人)で年収1110万円になります。(※1)

※1『あなたの値段 当世給料事情』毎日新聞社よりp71

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自衛官は、隊の精強さを保つため、他の公務員と比べて定年の年齢が若く設定されています(若年定年制)。具体的には、陸(海・空)将や、陸(海・空)将補というトップクラスの階級こそ、一般的な定年年齢である60歳ですが、階級が下がるにつれて1佐が56歳、2佐・3佐が55歳、1尉から2尉・3尉・准尉・曹長・1曹までが54歳、そして2曹・3曹が53歳と決められています(一部例外あり)。ただし、退職予定自衛官に対しては再就職のための教育や訓練、採用の推進など、さまざまな「就職援護」が行われています。(※1)

※1『平成17年版 日本の防衛‐防衛白書‐』防衛庁(現:防衛省)よりp289

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