木工芸


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木工芸原始時代から制作されてきたが、木材の特色を表現する、日本独自の木工芸の感覚が形成されたのは、平安時代以後。茶の湯の流行により、日常生活用品の木工芸品の美しさが注目され、江戸時代には各地で特色ある製品が作られるようになった。その素材は、クワ・ケヤキ・カキなどの硬木、スギ・ヒノキ・キリなどの軟木、シダンほか南方の輸入材などを指す唐木に分類することができる。一方技法は、指物、刳物(くりもの)、彫物、挽物(ひきもの)、曲物(まげもの)に大別でき、その分野ごとに異なった素材と技術が用いられる。たとえば指物は、釘を使わずに凹凸を組み合わせていく技法である。室町時代に大工職人から派生して専門の職人が誕生し、茶道の発展とともに、調度類と茶道用品に分かれた。また木工技術は、仏壇や建築などでも使われている。

産地:樺細工(秋田県)・江戸指物(東京都)・箱根寄木細工(神奈川県)・加茂桐箪笥(新潟県)・南木曾ろくろ細工(長野県)・大阪欄間(大阪府)・紀州箪笥(和歌山県)など

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木を使った伝統工芸品を制作するのが木工工芸家である。最近は、手作りの工芸品は大量生産品に押されて姿を消しつつあるが、それゆえに貴重な存在だと言える。木工工芸品には、箱類、盆類、鏡・額類、引出し類、棚類、家具、照明類、茶道具といったものがあり、手法も指物、彫物、曲物(まげもの)、挽物(ひきもの)など、地域ごとに伝わる様々なものがある。伝統文化継承の意味からも注目を集めている。大量生産品では味わえない、その作者ならではの魅力ある作品は非常に価値のあるものとされ、木工工芸の良さも同時に見直されつつある。住宅、店舗などのインテリアとしての木彫室内装飾、社寺建築彫刻、木彫看板などの仕事もある。

経済産業大臣指定の伝統的工芸品のうち、木工品については江戸指物、箱根寄木細工など21品目が指定されています(2005年9月現在)。これらの産地組合に属する企業数は約700軒、従業員数は約2000人、また伝統的工芸士(「お仕事豆知識」参照)の数は約300人にのぼります(※1)。このほか、木工芸に関する伝統工芸は日本各地にあり、それらに携わる人も大勢います。

※1 伝統的工芸品産業振興協会ホームページより集計

工芸家の中には重鎮と呼ばれるような作家をはじめ経済的にも社会的にも安定した地位にいる人もいますが、それはほんの一部。作家や職人の工房で見習いとして働く場合は、小遣い程度の収入しかない場合も多く、ある程度制作を任されるようになってようやく会社員の初任給程度という場合も多いようです(※1)。ちなみに、伝統工芸以外も含まれますが、民間で働く家具工(調査時平均年齢44.2歳)の現金給与月額は24万500円、推定平均年収は313万円となっています。(※2)

※1『工芸家になるには』ぺりかん社よりp148
※2「賃金構造基本統計調査 平成16年」厚生労働省より推計

日本各地にある伝統工芸のうち、実用性、技法、歴史、規模など一定の要件を満たしたものを経済産業大臣が「伝統的工芸品」として指定していますが、その数は2008年8月時点で210品目に及んでいます(※1)。これら伝統的工芸品の製造に産地内で直接従事し、かつ12年以上の実務経験を有している現役の職人には、伝統的工芸品産業振興協会が実施する「伝統工芸士試験」に合格することで伝統工芸士の称号が与えられています。2008年2月現在、伝統工芸士の登録者数は全国で4671人(うち女性が544人)にのぼっています。(※2)

※1 伝統的工芸品産業振興協会ホームページより
※2 日本伝統工芸士会ホームページより

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