営業[優位性を売る]
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「モノをつくって売る」にしても「サービスを考えて提供する」にしても、それをひとりで、あるいは「つくる人」と「売る人」のふたりで行っているケースはほとんどない。現実にはその間にさまざまなものが介在し、そこに仕事が発生している。たとえば大規模な食品メーカーが、つくった製品を直接消費者に売ることはない。食品メーカーが売る相手はスーパーやコンビニ、あるいは小売店に商品を卸す問屋となる。ちなみに問屋など、流通の中間で売買をする産業を卸売業という。その数は40万店(※1)、販売額は400兆円を超える(2002年)。いかに巨大な産業かわかるだろう。これまでの商習慣や、効率性を求めてきた結果、こういう一種の分業体制ができ上がった。
「営業」という言葉にはさまざまな意味があるが、仕事の現場では、モノやサービスを売ったり、そのための環境を整えることを指す場合が多い。食品メーカーならば、スーパーやコンビニ、問屋に対して営業をすることになる。同じ商品でも一般消費者への販売と違うのは、扱う金額が大きいこと、相手がプロであること、客を待つのではなく、こちらから積極的に出向くこと、などがあげられる。営業マンは売り込みや料金の交渉などのほか、店を回って自社製品への理解を深めてもらったり、少しでもいい位置においてもらえるような工夫をする。ときには店の手伝いをするようなこともある。ある意味では商品を売るための、店との共同作業という要素もある。またこうした外回りで得られた情報は、会社の企画開発や宣伝といった部門にフィードバックされる。ただし一口に営業マンといっても、具体的な仕事は業種や企業、あるいはセクションによってもまったく異なる。コンピュータメーカーの場合、量販店に自社のパソコンを置いてもらうのも営業だし、何百億円という単位の銀行のシステム構築を手がけるために売り込みをするのも営業である。後者の場合など、仕事は完全な共同作業といっていい。
※1 編集部注:2009年(平成21年)では、33万店。
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