家庭裁判所調査官・保護観察官・法務教官
<< 書籍「13歳のハローワーク」の職業解説 >>
福祉の分野で犯罪に関わる代表的な職業はこの3つ。家庭裁判所調査官は、家庭裁判所で働き、家事事件・少年事件を行動科学的見地から調査・診断し、その家族や罪を犯した少年などに対し、カウンセリングやケースワークを行う。保護観察官は、国家公務員の一種で、犯罪者や非行行為のあった成人・少年の背景を把握した上で、本人の更生や改善を助け、補導や援護をする。法務教官は少年院や少年鑑別所で働き、施設にいる少年の社会的不適応性を取り除き、社会復帰できるように援助・指導をする。これらの職業はすべて公務員であるため、急激な需要の増大は望めない。しかし、少年犯罪の若年化にともない、優秀な人材を必要とする職業である。
<< 編集部の職業解説 >>
法務教官とは少年鑑別所や少年院に勤務して、非行を犯した少年に対し、社会不適合の原因を除去して心身ともに健全な少年として社会に復帰させることを使命とする。少年鑑別所は家庭裁判所の審判を前に送致された少年を収容し、その資質の調査を行う施設。法務教官は、送致された少年の身柄を保護し、安心して審判が受けられるよう心のケアを図るとともに少年の問題性や改善の可能性を探り、面接や相談助言によって鑑別に役立てる仕事をする。少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された少年を収容し、更生のための専門的な教育を行う施設で、法務教官は、収容された少年の円滑な社会復帰を図るために個々の少年の問題に向き合い、集団活動・面接・相談助言・講話などを通じて健全なものの見方や考え方や、行動の仕方を指導する生活指導や、余暇を健全・有効に活用する習慣を体得させるレクリエーション指導を行う。法務教官になるには法務教官採用試験に合格して国家公務員とならなければならない。◆家庭裁判所調査官は、全国の家庭裁判所の本庁と主要な支部に約1500人が配置されています。(※1)
◆保護観察官は、全国8カ所の地方更生保護委員会と50カ所の保護観察所に約1000人が勤務しています。(※2)
◆法務教官は、全国52の少年院に約2200人、52(2006年4月より51)の少年鑑別所に約800人が勤務しています。(※3)
※1『ニッポンの職業・しごと全ガイド2006』自由国民社よりp168
※2『女性の職業のすべて』啓明書房よりp199
※3 法務省矯正局ホームページより
◆家庭裁判所調査官補の初任給は20万2496円(2006年4月、東京特別区内勤務の例)。家庭裁判所調査官になると俸給月額に約12%が加算されます。(※4)
◆保護観察官(国家公務員I種試験に合格した行政職員)の初任給は20万2496円(2006年4月、東京特別区内勤務の例)。(※5)
◆法務教官の初任給は22万4076円(2007年4月時点の東京特別区内勤務の例)。(※6)
いずれも、このほか、扶養・住居・通勤・超過勤務手当や、期末・勤勉手当て(ボーナス)が支給されます。
※4『なりたい!! 家裁調査官・裁判所事務官・書記官』DAI-X出版よりp81
※5 人事院ホームページより
※6 法務省矯正局ホームページより
◆家庭裁判所調査官になるには、「家庭裁判所調査官補採用I種試験」に合格し、家庭裁判所調査官補として採用される必要があります。その後2年間の研修を経て家庭裁判所調査官に任命されます。なお、2004年度試験の場合、申込者数は1850人、最終合格者数は65人でした。
◆保護観察官になるには、まず「国家公務員採用試験」(I種試験であれば行政、法律、人間科学IおよびIIなどの区分、II種試験であれば行政区分が採用の中心)に合格する必要がありますます。その後、地方更生保護委員会や保護観察所に法務事務官として採用され、一定期間更生保護行政を幅広く知るための仕事を経験します。
◆法務教官になるには、「法務教官採用試験」に合格する必要があります。試験は男性、女性の2区分に分かれ、2005年度試験の場合、法務教官A(男性)の申込者数は2128人、最終合格者数は108人、法務教官B(女性)の申込者数は1337人、最終合格者数は31人でした。
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