海上保安官


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海の安全維持から、事故対応・救助作業といった日本の海の安全を守る。国家公務員として海上保安庁などで働く。不審船の監視や取り締まり、海上交通の整理をはじめ、海難事故が起こった際の救助作業、事故によって海上に流出した船の油や有害物質の防除措置に至るまで、さまざまな状況に対応していく。安全な航海を支援していくために、水路の測量や海洋・天体観測などを実施して海図を制作する部署や、船が自分の位置を確認するための航路標識(灯台やブイなど)の設置・管理をする部署もある。海上保安庁に入るには、海上保安大学校か海上保安学校を卒業する必要がある。海上保安大学校では、海上保安業務に必要な高度な技術や技能を修得するとともに、心身の鍛練を図ることにより海上保安庁の幹部職員を養成している。本科卒業後は専攻科に進み、練習船で遠洋航海乗船実習を行い海上での実践力を身につける。学生採用試験での倍率は12~13倍ほど。海上保安学校は、海上保安職員として採用された学生に対して海上保安業務に必要な学術や技能を教授する。航海コースや機関コースなど、卒業後の業務に応じた5つのコースでその分野のエキスパートを育てる。試験での倍率は、5~20倍ほどとコースにより異なる。そのほか、海洋情報部などで、国家公務員I種試験により理工系の人材を募集したり、海技免許取得者に向けて巡視船艇職員の募集も行っている。

<< 編集部の職業解説 >>

海上保安官は船舶の安全な航行のための交通整理や不審船の監視・取り締まり、海上における犯罪の捜査・予防活動、海難事故の救助、事故による汚染の除去、海上汚染の防止、海上保安庁が使用する船舶の整備など、海上の安全と秩序を守る様々な仕事を行う。そのため、海という厳しい環境で業務するには、日頃からの訓練で体力面を鍛えなければならないと同時に、どんな状況になっても冷静に判断できる決断力や心構えが重要になってくる。また、業務は団体行動で行うものが多いため、規律正しく協調性のある人間であることが求められる。海上保安官になるためには国土交通省所管の海上保安学校または海上保安大学校へ入学し、教育課程を修了しなければならない。

2004年度末時点の海上保安庁の総定員は1万2297人。そのうち総務部や海洋情報部などの内部部局の定員が1081人、第1~11管区海上保安本部などの地方支分部局の定員が1万689人、海上保安大学校などの施設等機関が524人となっています。(※1)

※1『海上保安レポート』海上保安庁より

多くの海上保安官は、一般の国家公務員と比較して高めの給与をもらっています。特に、巡視船艇や航空機に乗り込む海上保安官は、職務の特殊性により調整額といって上乗せされた給与が支給されます。その他、職種によって各種の手当てやボーナスも支給されます。(※1)

※1『海上保安官になるには』ぺりかん社よりp120

海上保安官になるためには、幹部職員を養成する海上保安大学校(広島県呉市)か、専門職員を養成する海上保安学校(京都府舞鶴市)で学ぶのが一般的。在学中はすでに海上保安庁職員の身分であり、授業料が不要となるうえ給与も支給されます。ただし、採用試験(入学試験とは言いません)は年齢制限や身長や肺活量などの身体条件もある上かなりの高倍率。2005年度の「海上保安大学校学生採用試験」の申込者数は952人、最終合格者数は76人(うち女性は8人)でした。

2007年における海難(海上における船舶衝突、乗揚、転覆、浸水など)船舶数は2575隻、海難による死亡・行方不明者数は87人にのぼりました。また、人身事故(海難によらない乗船者の負傷、病気および海浜などで発生した負傷、溺水、海中転落など)者数は2943人で、このうち死亡・行方不明者数は1291人にのぼりました。海上保安官の仕事は多岐にわたりますが、こうした事故にも日夜対応しているのです。(※3)

※3「平成19年における海難及び人身事故の発生と救助の状況について」海上保安庁より

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