検察官


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法律に違反した犯罪や事件を、警察と協力して捜査し、もしくは自ら被疑者を取り調べ、被疑者の起訴、不起訴の判断を下す。起訴をした場合には公判の場で証拠を立証して被告側の弁護士と論争を行い、実刑判決が決定した場合の刑の執行を指揮する。司法試験に合格して法曹資格を取得するか、3年以上特定の大学で法律学の教授もしくは助教授の職にあったものが検察官になることができ、現在約2300人の検察官がいる(2002年7月)。日本で被疑者を起訴できるのは検察官だけであり、公益の代表者としての立場から幅広い権限を持ち、日本の刑事司法の中核的な役割をはたしている。しかしその仕事の厳しさなどから、司法試験合格者のうち検察官になるのは1割程度と少ない。今後更なる増加が見込まれるハイテク技術を用いた犯罪や、外国人による犯罪に対する厳格な対処要請の高まりも重なり、検察官の増強は重要な課題である。

<< 編集部の職業解説 >>

検察官とは法を犯した者を刑事裁判にかけることができる唯一の職業だ。犯罪が起こった時、まず警察が容疑者を探し出し、証拠を集め逮捕する。そして容疑者が本当に犯人なのか確かめた上で警察と協力して捜査を行い、裁判所に起訴するかどうか決める。起訴した場合は、公判において犯罪の立証や違法性を示して、どの程度の刑罰が適切かを判断し、求刑を行う。政治家などによる汚職事件や法律や経済についての高度な知識を必要とする企業犯罪・多額の脱税事件などについては、検察官が直接捜査を行い、検挙摘発する。法の正当な裁きを要求し、下された判決の執行を監督する。検察官になるためには、原則として司法試験に合格して法曹資格を取得したのち、一定期間の司法修習と検察内での研修を修了しなければならない。

検察庁は裁判所に対応する形で、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁、区検察庁の4種類で成り立っています。2003年時点でこれらに勤務している検察官の数は、最高検察庁に18人、高等検察庁に130人、地方検察庁に1305人、区検察庁に899人の、計2352人となっています。(※1)

※1 検察協会ホームページより

検察官の給与は「検察官の俸給等に関する法律」という固有の法律で定められています。検察官や裁判官の待遇は権力者などが安易に介入して圧力をかけられない仕組みになっているのです。2006年度の場合、検事の初任給は23万1300円で、基本給に加えて各種手当や年2回の特別手当(ボーナス)がつきます。ただし、他の公務員には支給される超過勤務手当(残業代)の制度がないのが特徴です。給与は年数とともに昇給していきますが、最高クラスの検事総長ともなると月額報酬は162万1000円になります(※1)。ちなみに、国家公務員である検察官や裁判官と異なり弁護士は自由業。そのため年収数億円の弁護士もいれば一般の会社員以下という弁護士もいます。

※1『弁護士・検察官・裁判官になろう』インデックス・コミュニケーションズより(金額は最新のもの)p129

検察官には、大きく分けて検事として検察官になる方法と、副検事として検察官になる方法があります。検事になるためには、司法試験に合格した後に司法修習を受け、検察庁に採用される必要があります。2006年度からは新司法試験が始まり、受験するためには法科大学院(ロースクール)を修了するなどの必要が生じています(ただし2010年までは旧司法試験として従来の制度も併存)。一方、副検事に任命されるためには、検察事務官や警察官等の公務員として一定期間勤務した後、法務省の審査にパスする必要があります。(※2)

※2 検察協会ホームページより

検察官になるのは毎年、司法試験合格者のうち1割程度と少ない。

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