国連職員


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国連事務局には1万4000人が、ユニセフのような国連の下部機関やユネスコのような専門機関をすべて含めた広い意味での国連システム全体では6万5000人が働いている。こういった国際機関の職員を国際公務員という。仕事の内容は機関によって異なるが、基本は経済、医療、開発途上国支援などの専門家を中心にした官僚組織。勤務地は世界中に広がっている。各機関の職員の採用は、空席が出たときに随時行われるが、これは国際的な業務について相当なキャリアがある人を対象としたもの。若手職員の採用については、国連事務局が国連職員採用競争試験を行っている。受験資格として「大学卒」「英語かフランス語で仕事をすることが可能」などがあげられているが、実質的には修士以上の学歴と経済、法律などの専門知識、2カ国語以上の外国語の能力が必要といわれている。またこのほかに、外務省が一定期間、各機関の職員として派遣するアソシエート・エキスパートなど派遣制度のようなものもある。

世界191カ国(2006年2月現在)が加盟している国際連合(国連)は、総会、安全保障理事会、国際司法裁判所、事務局など6つの主要機関で構成され、その下部機関として、国連開発計画(UNDP)や国連児童基金(UNICEF)などが、また国連から独立した専門機関として世界保健機関(WHO)や国際労働機関(ILO)などがあります。2005年6月時点における主な国連機関の職員数は、国連事務局が1万5989人、国連開発計画(UNDP)が5542人、国連人口基金(UNFPA)が1342人、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が6639人、国連児童基金(UNICEF)が8981人などとなっています。(※1)

※1 外務省 国際機関人事センターホームページより

国連職員(専門職以上)の給与は、階級や勤続年数などに応じて細かく規定されている基本給に加え、地域調整給、扶養手当、教育補助金、異動・困難手当、住宅補助金、赴任手当、旅費、一時帰国費用などが支給されます。地域調整給とは、世界中のどの勤務地に赴任したとしても生活水準がニューヨークと同等に維持されるよう調整するための手当です。ちなみに、基本給に地域調整給を加えた手取り額は、P-2 Step3(大学院修士課程修了、職歴3年程度)の独身者でニューヨーク勤務の場合、7万424ドル(1ドル110円の場合、約775万円)となっています(※1)。給与はドルで計算され、希望する通貨で支払われます。また、日本の公務員と違いボーナスはありません。(※2)

※1 外務省 国際機関人事センターホームページより
※2『国際公務員になるには』ぺりかん社よりp93

国際機関職員になるための方法はいくつかあり、その一つが国連事務局の実施する応募資格32歳以下の「国連職員採用競争試験」。試験は英語またはフランス語で行われ、高度な語学能力と専門知識が求められます。また、外務省が35歳以下の日本人を対象に行う「アソシエート・エキスパート等派遣候補者選考試験」は、合格後、原則2年間各国際機関に派遣される制度で、任期修了後に正規職員として採用されることもあります。このほか、国際機関の採用担当者が来日して審査を行う「採用ミッション」や、国際機関に空席が生じた際、世界中に向けて公募される「空席公告」による採用などもあります。

国際機関に勤務する職員は、専門知識や技術を活かし各機関の中枢で仕事を行う「専門職」、専門職の下で一般事務を担当する原則現地採用の「一般職」、一定期間開発途上国に派遣され技術指導などを行う「技術協力専門家」に大きく分類されます。2005年6月時点における国連事務局職員1万5989人のうち、地理的配分の原則が適用されるポストで、かつ一般職、技術協力専門家、任期1年未満の職員などを除いた2579人のうち、日本人職員の数は111人(うち女性66人)でした。これは全体の4.3%にあたりますが、アメリカの12.1%などと比較して、また日本が支払っている国連予算の分担比率(約19.5%)から考えてもかなり少ない数字といえます。国連事務局も望ましい日本人職員の数として262~355人という数字を掲げています。(※1)

※1 外務省 国際機関人事センターホームページより

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