舞台演出家


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戯曲やミュージカルなど、創造力を駆使してどのような舞台を演出するかに全精力を費やす。自分の立てた演出プランに沿って俳優に演技指導し、美術や照明、音響などのスタッフと協力して、イメージした舞台をつくりあげていく。映画でいえば監督にあたる。舞台演出家の協会日本演出者協会には450人ほどが在籍、海外で活躍する人もいる。劇団に入団して俳優としてスタート、その後演出家の道に進んだ蜷川幸雄や、俳優、振付師を経て欧米に留学し演出家になった宮本亜門など、演出家になる道はさまざまある。フリーで活動する人、劇団に所属している人もいるが、自ら劇団を主宰している人が多い。演出家になるには、まず好きな演出家のもとで演出助手として学ぶことが多いが、この時期は大した収入が期待できない。演出家養成セミナーの講習を受けたり、演劇ワークショップに参加したり、演出家育成インターンシップの研修生として現場で学ぶなどの方法もある。いずれにしても、才能がなければできない仕事だが、演劇好きにとってはたまらない魅力があり、人気は高い。

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舞台演出家とは、演出におけるすべての権限を任される、いわばオーケストラの指揮者のような役割を果たす。具体的には、キャスト・スタッフの各パートをまとめあげ、作品を完成させる仕事を行う。映画・テレビと舞台の最大の違いは、本番でNGを出せないこと。映画やテレビでは録り直しができるが、観客が入った舞台でミスがあってもやり直すことは許されない。従って舞台の稽古は非常に長期間に渡って行われ、舞台演出家は俳優の台詞や動作のひとつひとつに至るまで、細かなチェック、指導を行う。また照明や音響なども同様にミスが許されないため、舞台演出家は各技術スタッフとも綿密な打ち合わせを行う。舞台演出家になるためには、好きな舞台演出家の下で演出助手として学ぶことが多い。その他、演出家養成スクールに通ったりセミナー講習を受けたりすることで学ぶこともできる。

現在、活動している舞台演出家の正確な数は不明ですが、舞台演出家の職能団体である日本演出者協会には550人以上の演出家が会員として在籍しています(※1)。日本には大小無数の劇団が存在し、その数を把握することは困難ですが、ぴあ総合研究所の調べ(※2)によると、2004年の日本における現代演劇の公演回数は3万5375回、ミュージカルの公演回数は7904回となっており、舞台演出家の活動が活発に行われていることが推測されます。

※1 日本演出者協会ホームページより
※2『エンタテインメント白書2005』ぴあ総合研究所よりp79

◆演劇業界における演出家の年収は、0~1000万円。(※1)
◆大劇団を除き給与は低い。著述活動や演劇学校の講師などで副収入を得ているケースも。(※2)

※1『マスコミ解体新書』角川書店よりp120
※2『天職事典ver.2』造事務所著・PHP研究所出版よりp96

舞台演出家になるために必須となる資格はありませんが、大学や専門学校などで演劇を専攻していると役立ちます。卒業後、劇団の演出部や劇団附属の養成所に入ったり、著名な演出家に弟子入りしたりする場合もあります。演出助手、舞台監督助手などをしながら経験を重ねるほか、自ら劇団を旗揚げして演出家になる場合もあります。俳優や振付家、劇作家(脚本家)から演出家に転進したり兼任したりする場合もあります。

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