歌舞伎俳優
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歌舞伎という、非常に閉鎖的な伝統芸能の世界で、一般の人がプロを目指そうとすると、日本芸術文化振興会が主宰し、国立劇場に付属する伝統芸能伝承者養成所で、芸を学ぶしか今のところ方法がない。歌舞伎界の外から「引き立て」られて、スーパースターになった例として玉三郎がいるが、彼のようなケースはおそらく30年か、50年に1人だろう。養成所での研修は、全日制の2年間で、歌舞伎実技、立廻り・とんぼ、化粧・衣装・かつら、日本舞踊、義太夫、長唄・三味線、鳴物、箏曲、発音・発声、作法などを学ぶ。養成所の応募資格は中学卒業以上23歳までの男子となっている。募集人員は明記されていなくて、若干名ということ。国立劇場で、2年おきの1月から3月に一般公募し、4月上旬に簡単な実技試験と面接および健康診断を経て、研修開始後6カ月以内に適性を審査し、正式に合否を決定する。研修を終えると、日本俳優協会に入会し、伝統歌舞伎保存会あずかりとなって、舞台出演をすることになるが、もちろん台詞もない端役である。1年後、保存会の斡旋により幹部俳優に入門することになるが、部屋子と呼ばれるその他大勢から、名題というその上のクラスになるのは約25%で、たとえ名題になっても大きな役がもらえることはほとんどない。幼児のころから芸をたたき込まれる歌舞伎界の子供たちに比べると稽古の質にも量にも差があるのでしょうがないことかもしれない。また梨園と呼ばれる世襲制の世界には独特の雰囲気があって、そのムードは芸にいかされるので、養成所出身の歌舞伎俳優はますます不利になる。しかし例外があって、猿之助のスーパー歌舞伎だけは周囲の俳優に養成所出身者を集めている。だが、それも古手の養成所出身者が多くなって、後進の参入がむずかしくなっていると聞く。
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