指揮者


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指揮者管弦楽団や交響楽団を指揮する。音楽大学の指揮科で学ぶか、海外で個人教授を受ける。あるいは作曲を学んだ後に指揮者になるケースもある。指揮者を職業としている人は、日本中で10人にも満たないかもしれない。日本の交響楽団が外国人の有名な指揮者を招待してコンサートをすることも多いからだ。ひょっとしたら、総理大臣になるより、指揮者として成功するほうがむずかしいかもしれない。音楽と楽器に対する深い理解と敬意、作曲家の意図とアイデアに対する卓越した想像力、そして演奏家たちの才能を引き出すコミュニケーションスキルとカリスマ性、プロデューサーとしてオーケストラを率いる忍耐力と指導力、すべてを備えていなければ指揮者にはなれない。音楽を愛する人にとって、フルオーケストラの指揮は、永遠のあこがれである。

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オーケストラや合唱団の演奏会において、演奏の指示を与え、全体をまとめる仕事が指揮者である。指揮の要点は大まかに分けると、「音の入りと切りの指示」、「テンポの指定」、「音楽表現の指示」となる。演奏会当日の指揮者の仕事は以上のような物だが、実はこれは指揮者の仕事の一部に過ぎない。指揮者はリハーサルにおいて、音楽のイメージを演奏者に伝え、様々な指示や指導を行う。つまり演劇における演出家のような役目で、指揮者にとってはこの仕事の方が重要な任務ともいえる。同じオーケストラでも指揮者によって、演奏はかなり違うこともある。

専業従事者は大変少なく、音楽教師など様々な職業を持ちながら楽団に所属しているケースが多いようです(※1)。ちなみに、1950年発足の日本指揮者協会には、厳格な審査を経て入会した国内外で活躍するプロの指揮者100人が会員登録しています。(※2)

※1『ニッポンの職業・しごと全ガイド2006』自由国民社よりp223
※2 日本指揮者協会ホームページより

世界的に活躍する一握りのソロ音楽家のギャラは桁違いですが、定価というものがなく、無料のチャリティー公演などに参加する場合もあります。日本を代表する指揮者の公演のギャランティは、国内で500~1000万円程度といわれますが、海外では100万円を切ることもあるとか。ちなみに、オーケストラの楽団員の平均年収は、国内最高クラスの交響楽団で約1000万円。ただし、観客数の伸び悩みや企業の寄付金の減少などで楽団経営は厳しく、知名度は高くとも有力な親組織を持たないオーケストラの楽団員の年収は400万円台です。(※1)

※1『あなたの値段 当世給料事情』毎日新聞社よりp154

大勢の楽団員を束ね、作曲者の意図を理解したうえで自らの表現力をぶつける仕事だけに、高度な音楽的知識や芸術的センス、リーダーシップや優れた人格なども必要となります。独学で日本を代表する指揮者になった例もありますが、一般的には、音楽大学の指揮科で学んだ後、海外に留学したり、演奏家や作曲家として経験を積んだうえで転進したりするケースがあります。作曲や演奏の勉強、暗譜(楽譜の暗記)、演奏者の音を聞き分ける訓練など不断の努力が必要な仕事です。

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