音楽タレント


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人生の一時期だけポップミュージックシーンで活動する人のこと。アイドルを含む。大きなレコード会社からデビューするメジャーと、独立系の小さなレコード会社からデビューするインディーズの2種類があるが、基本的には大した違いはない。クラシック音楽家やスタジオミュージシャンや歌手には演奏能力や歌唱能力が求められるが、音楽タレントに求められるのは、まったく別の才能だ。その才能を説明するのはむずかしい。極端なことをいうと、日本のポップミュージックシーンでは、音痴でもデビューできて、ヒットすることもあるし、曲が書けなくても、顔が悪くても、身長が低くてスタイルが悪くて、性格が最悪でも、成功し、スターになれる場合もある。もちろん、歌がうまくて、顔がよくて、背が高くスタイルがよくて、性格もよいのだったらそれに越したことはないが、それだけでデビューできたり、スターになれるとは限らない。成功する基準が曖昧で、挑戦するにはリスクが高い仕事。ミュージシャンとか、アーティストなどとも自称する音楽タレントのなかで、音楽だけで生活する人は100人にも満たない。

デビューする方法としては、オーディション、持ち込み、ライブで発掘される、などがある。持ち込みの99%はボツになる。声と曲とルックスが判断基準であり、演奏はそんなに重視されない。だが演奏が非常にうまければスタジオミュージシャンに転向できる可能性もある。運よく音楽タレントとして発掘されても、売れなければ、廃棄処分となる。デビューして、2年後ないし3年後に、生き延びるか、廃棄処分になるか、プロダクションから判断が下る。生き延びるか廃棄処分かの基準は、レコードの売り上げやライブ動員数。つまり人気があって、プロダクションやレコード会社に利益が出たかどうかで決まる。音楽タレントに必要なのは、音楽的才能のほかに、若者としての、ある種の輝きのようなものだ。「何が何でもスターになってやる」というハングリー精神、「小さいころから異常に人気があった」というような生まれながらのスター性、他人には真似のできない自分だけの世界を表現・パフォーマンスする独自性、などが「輝き」を生む。ほかにやることがないからバンドでもやるか、というような中途半端な動機で音楽タレントを目指しても絶対に成功しない。

音楽タレントとして活動している人の数は正確には分かりませんが、2000年の国勢調査の時点で、2万2696人が音楽家(個人に教授するものを除く)として働いています。ただし、この数字にはクラシックの演奏家、スタジオミュージシャンなども含まれています。プロとしてデビューしても一線で活躍し続けられるのはほんのひと握りという厳しい世界です。

事務所やレコード会社との契約により異なりますが、月給制の場合、新人で10~15万円程度(※1)。CDの印税には作詞、作曲、歌唱の3種類があり、歌唱印税はCD価格から経費を除いた額の1~2%程度です。

※1『天職事典』造事務所著・PHP研究所出版p74より

プロのミュージシャン(歌手)になるための正攻法はありませんが、大手プロダクションやTV局が経営する音楽学校に入学する、オーディション番組や大手プロダクションが開催するオーディションに参加する、レコード会社へデモテープを持ち込む、各種コンテストに出場する、有名な歌手や作曲家に師事する、などのパターンが考えられます。(※1)ミュージシャンに比べて、演奏技術よりもルックスやタレント性が重要視されます。

※1『つくにはBOOKS No.3 2006年版』さんぽうよりp39

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