暗号作成者
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暗号は、受信者以外に知られることのないよう、秘密裏に情報を伝えるための特殊なメッセージである。古くからさまざまな方法と目的のために使われてきた。たとえば『ガリア戦記』に、著者であるユリウス・カエサルは、部下あてのメッセージを暗号で送ったという記述を残している。このとき、カエサルが使ったのは換字式暗号と呼ばれるもので、アルファベットの各文字をそれよりも3つ後ろの文字に置き換えて表すというものだ。カエサルの場合もそうだが、これまでの暗号は、とりわけ軍事目的で用いられることが一般的であった。敵に解読されるたびにその手法を洗練していった。史上最高の暗号として恐れられたものに、ドイツの発明家、アルトゥール・シェルビウスがつくり出した暗号機「エニグマ」がある。これは第ニ次世界大戦中にナチス・ドイツ軍によって用いられた。
今日、暗号は軍事目的だけではなく、ビジネスの世界で広く必要とされている。これはインターネットの普及による情報化社会の到来のためだ。たとえば電子メールや電子商取引、インターネットショッピングなどでは、情報の保護は不可欠である。そのため、今日の暗号作成者は、一般的に物理学や数学などの極めて高い知識を持ち、コンピュータ科学に関わっている。IT企業のエンジニアや研究者として働きながら、暗号システムやソフトを開発し、特許をとっている人も少なくはない。現在もっとも求められているのは、暗号解読者側が開発している量子コンピュータから情報を守る、量子暗号の完成だ。量子物理学の理論を使用したこのコンピュータと暗号は、暗号の進歩に終止符を打つものといわれている。ただし、双方ともテクノロジー開発の側面だけではなく、市民の自由と国家安全保障をめぐり、実用化は困難だと思われる。
暗号は今後のビジネスに必須のものであり、高度な技術を持つ暗号作成者の需要は増える一方だ。また誰にも破れない暗号を作るということには、わくわくするような魅力があるものらしい。ただし暗号作成者になるには、数学や量子物理学、コンピュータに関する知識だけではなく、人間としての高い倫理観やバランス感覚を持つことが必要である。
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